伊万里湾周回サイクング『イマイチ』の可能性

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佐賀県のサイクリングコースは?
ブリット野口です。
佐賀サイクリングクラブが提唱するサイクリングコースには、5つの上級者コースと5つのポタリングコースがある。
コースは案内板と路面標示が設置され、青い線を追いかけていくと目的地に到着する仕組みになっている。
佐賀サイクリングクラブ
伊万里湾周回コース「イマイチ」とは?
佐賀サイクリングクラブが推奨する「有田~唐津ルート」の一部を通って、伊万里湾を周回するサイクリングコース「イマイチ」の調査を行った。
調査員は自転車愛好家3名と地元在住のメディア関係者1名(初心者)と自転車店主1名の計5名。
使用した自転車はロードバイク2台とミニベロタイプの電動アシスト自転車3台の計5台。
コースプロファイルは以下の通り。
➀自転車
伊万里駅から唐津市肥前町を経由して長崎県松浦市鷹島町の殿ノ浦港まで35km移動。所要時間は休憩を入れて3時間。
➁フェリー
殿ノ浦港から飛島を経由して今福港まで10km移動。所要時間は25分。
➂鉄道
今福駅から伊万里駅まで17km移動。所要時間は26分。
イマイチはフェリーと鉄道を乗り継ぐため、殿ノ浦港12時30分発のフェリーに間に合わなければアウト。
初心者の体力に合わせたペース配分と適度な休憩を心がける。
伊万里駅を8時30分に自転車で出発し、名村造船所を目指す。
アシストが切れ始める20km/hをキープするように案内役にお願いした。
名村造船所の近くのコンビニで休憩し、次の休憩ポイントを決める。

地元在住の初心者から次の休憩ポイントのアドバイスを受け、公共トイレがある波多津ふれあい広場を目指す。交通の妨げにならないように隊列を組んで進む。
波多津漁港でトイレ休憩。
ここで夜勤明けで遅れてきた調査員と合流し、5名で目的地を目指す。
平地は巡行速度25km/hのロードバイクが有利。
電動アシスト自転車は20km/hをキープし、平地で少し離れ、上りでロードバイクに追いつく。
波多津から先は坂道が続くので電動アシスト自転車が有利。しかし、下りでロードバイクに離されてしまう。ミニベロは乗車姿勢が高く、空気抵抗を受けやすい。さらに、タイヤが小さいので遠心力も弱い。このコースは狭い路地を走らないのでロードバイクが最適だった。
波多津から肥前町まで海から離れて里山を走り抜ける。
集落の屋根瓦が茶色くなってきたので肥前町は近い。アシストがあってもペダルを回す動作は必要なので里山のアップダウンは足を削られ、初心者に少し疲れが見える。上場台地を走り抜け、鷹島肥前大橋展望広場で休憩したあと、鷹島へ渡り、殿ノ浦港を目指す。
予定より20分遅れて出航10分前に殿ノ浦港に到着。
自転車に1時間以上乗ったことがない初心者がロードバイクから離されずに走ることができたのは電動アシストのおかげ。
クルマ中心の生活で運動不足の初心者を離脱させずに目的地まで誘導できたので、とりあえず、安堵した。
初心者の感想は「適度な疲労感とフェリーの出航に間に合った達成感が心地良い」とのこと。

ターミナルで乗船券を購入し、フェリーに乗り込む。
大人運賃600円、自転車運賃200円で海上10kmを移動できるのは有難い。

フェリーに乗ると旅の気分が倍増する。船内では多久在住の案内役から名物の岸川饅頭の提供があり、缶コーヒーを片手に雑談と景色を楽しむ。
鷹島汽船
ミニベロのバスケットは空気抵抗を大きく受けるが、荷物を背負わない「身体の軽快さ」がメリット。
今福港に到着し、案内役がお勧めする「きらく」でアジフライ定食を注文。
今福はアジフライの聖地。ご当地グルメは旅には欠かせない。
今福駅から伊万里駅まで松浦鉄道で移動。運賃510円。ペダルを漕がないで良いため、余裕の表情で旅を振り返る調査員5名。鉄道も旅の気分を倍増させる。

ちなみに、松浦鉄道は自転車を輪行袋に入れないで運ぶことができるサイクリング列車を運行している。但し、対象の列車は決まっていて事前連絡が必要。手荷物運賃を払わなくて良いのでお得な気分になる。非日常体験は旅の醍醐味だが、乗客の迷惑にならないように配慮が必要となる。
松浦鉄道

26分で伊万里駅に到着。改札がないので運賃は運転手に支払う。
ホームからの出口はスロープになっていて自転車を押して駅の外へ。重い電動アシスト自転車を抱える必要がないので女性でも気軽に利用ができる。

佐賀県と長崎県の地域資源を掛け合わせ、ご当地体験を楽しんだ。そして、新たな自転車の楽しみ方を共有することもできた。
これから、ヒト資源であるガイド育成やエリア一体となった取組として盛り上がっていけば、「イマイチ」がサイクルツーリズムとして認知されるかもしれない。
伊万里湾を1周するから「イマイチ」
鉄道の手配をしてくれた案内役の自転車愛好家N氏。
自転車×カメラ、自転車×登山、自転車と何かを組合わせるのが大好きな人。
「ビワイチ」「アワイチ」など、1周コースの名称にイチを付けるので、伊万里湾周回もイチを付けたら「イマイチ」になってしまったとのこと。
「名前はイマイチだけど、自転車を運ぶ手段の組合せがおもしろい」と紹介され、一緒に調査をすることになった。イマイチは自転車の走行距離が長いので初心者には厳しいとの話になり、次回は福島経由の「イマイチミニ」の可能性を探ることになった。初心者の意見は大切だ。マイクロツーリズムと自転車は相性が良い
じゃらんリサーチの2022年調査によると宿泊旅行中に実施した追加消費行動について「体験・アクティビティ」の割合は24.4%で、歴史・文化・観光ツアーの実施率は落ちて、スポーツ・アウトドアの実施率が多少伸びてきているとのこと。
ご当地を自転車で巡るサイクルガイドツアーは、5つの要素を組み込むとサイクリングマップと差別化ができる。そして、地域との合意形成も同時に進めていかないとトラブルが発生するので注意が必要だ。ご当地体験には5つの要素がある
➀新たな楽しみ方の発掘&創作
➁地域資源の掛け合わせ
➂ヒト資源の魅力化
➃名所・旧跡を活用した体験
➄エリア一体となった取組
伊万里といえば…
佐賀県の西部に位置し、佐賀市から西に約50㎞、福岡空港から車で1時間20分、佐賀空港、長崎空港から1時間の距離にある。
「古伊万里」と呼ばれる焼き物の積み出し港として繁栄した街で「古伊万里文化」の香りが漂う焼き物などを街の随所で見ることができる。「秘窯の里」大川内山には30軒の窯元が集まっていて、藩窯で培われた「鍋島」の伝統を現代に受け継いでいる。また、伊万里は四季をとおしてフルーツを味わえるフルーツの里でもあり、最高級の黒毛和牛「伊万里牛」も伊万里を代表する特産物である。

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