草刈機のカスタマイズとポジション最適化:自転車屋の私がマキタEM227を「シマノ製レバー」で調律した理由とは?

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ブリット野口です。

田舎暮らしやフィールドの維持管理に必要な「三種の神器」といえば、草刈機(刈払機)、チェーンソー、大風量のブロワー。
今回は、私が愛用している草刈機の「カスタマイズ」と、プロのメカニック視点で行ったポジションの最適化についてご紹介します。

私の愛機:20年選手の「マキタ EM227(2ストローク)
草刈機は外観の構造により、大きく「Uハンドル肩掛式」「ツーグリップ肩掛式」「背負式」の3種類に分類できます。一般的に広く使われているのは、左右のハンドルを握って振る「Uハンドル肩掛式」です。

私が愛用しているのは、シンプルな構造で抜群にタフな2ストロークエンジンの名機、マキタ(makita)の「EM227」。
20年前に購入したモデルで既に廃盤となっていますが、地元の小野農機具店でキャブレターの精密な整備を施してもらってからは、すこぶる快調に回っています。

適切なメンテナンスと消耗品(プラグやエアフィルター)の交換さえ怠らなければ、草刈機は20年、30年と付き合える一生物の道具になります。作業後の洗浄、コンプレッサーでの丁寧なエアブロー、そして、燃料にはガソリンとワコーズ(WAKO’S)のV2Rを「50:1」で高精度にブレンドした混合油を使うのが、長寿命の秘訣です。

自転車パーツを流用した「人間工学(エルゴノミクス)カスタム」
5年ほど前から、私は草刈機の「ポジション」に対して強烈な違和感を覚えていました。草刈機は基本的に、刃が反時計回りに回転するため、右から左へ体を使って振るのが基本動作です。しかし、シャフトに固定された純正ハンドルは左右対称のものが多く、身体の右側に機械をセットする「半身のポジション」に対して、人間工学的にオフセットされていません。

左右対称の動きが基本である「自転車」の運動に慣れ親しんだ体にとって、この非対称なひねり動作は大きなストレス(疲労の原因)でした。そこで、市販のカスタムパーツがないのならと、自転車の部品を流用した独自のポジション変更を試みました。

① ライザーバーによるハンドルオフセット
自転車用の「ライザーバー」を流用し、身体のひねりと腕のリーチに合わせて完全にアジャストしたアシンメトリー(左右非対称)なハンドルポジションを構築。これにより、自然な姿勢のまま軽い力で効率よく刃を振ることができるようになりました。慣れ親しんだバー幅は、驚くほど体に馴染みます。

② シマノ製シフトレバーを流用した「アクセルレバー改造」
平成23年(2011年)以降、安全基準の改正によって固定式スロットル(レバーから手を離しても高回転が維持されるタイプ)は生産中止となり、現在の刈払機はレバーを握り続けなければならない仕様が義務付けられています。
私のEM227は旧式レバーでしたが、レバーの経年劣化を機に、なんと「シマノ(SHIMANO)製の自転車用シフトレバー」を流用してスロットルレバーへと改造しました。

ネット上では「刈払機 アクセルレバー 改造」という検索ワードが非常に多く、自己流の危険な固定化カスタムが散見されますが、私のシステムでは安全対策として「モーターサイクル(バイク)用のキルスイッチ」を併設しています。万が一の際にも、親指ひとつで瞬時にエンジンを強制停止(基準の5秒以内を余裕でクリアする素早い動作)できる安全マージンを確保した、プロメカニックならではの「合法・安全スロットルカスタム」です。

重量バランスの調律と、データで見る「草刈の本質」
「ハーネス交換と重心の最適化」
既製品の一本帯の肩掛けベルトから、重量配分を徹底的に考慮した「2点式ハーネス」へ変更。同時に、ハーネスとシャフトを繋ぐフックの取付位置をミリ単位で変更しました。あえて、バランスをフロントヘビー(前下がり)にし、刃先に取り付けた「ジズライザー」を地面に滑らせる「地ズリ作業」を行うセッティングにすることで、体にかかる実質的な重量負担を大幅に軽減。今では2時間連続で作業しても腰を痛めない、圧倒的な疲労軽減を実現しています(※ただし手の防震対策として防震手袋は必須です)。

サイクルコンピュータ感覚で「数字で捉える」
今季からは、エンジン回転数をリアルタイムで測定できる「デジタルタコメーター」を採用しています。
チップソーの切れ味が落ちると、草の抵抗でエンジンの回転数が目に見えて落ちます。インドアのローラー台トレーニングで「ペダリングをパワーやケイデンスの数字で捉える」と同じ感覚で、草刈りもデータ化してみたのです。

切れ味と回転数の関係性がデータ(数字)として見える化されることで、「どのチップソーが優れているか」「研ぎ方の角度はどれが正解か」が論理的に判断できるようになります。

まとめ:草刈機の本質は「長い柄のついた鎌」である
5年前から草刈機のポジションに違和感を覚えていながらも、交換できる既製パーツがなく諦めていましたが、自転車の部品を流用できることに気づいたことで、ようやく理想の形に辿り着きました。

私の草刈作業のフィールドは、パンプトラックの芝生や法面の雑草など、面積としては狭い場所が中心です。農作業ではなく、あくまで趣味としての草刈りですが、だからこそ道具を徹底的に使いこなすおもしろさがあります。
チップソーなどの草刈刃メーカーである日光製作所の資料には、非常に深い「草刈の本質」がこう綴られています。

  • 草刈機は、刈刃を動力で回転させた「長い柄の鎌」であり、それを人間が操作しているだけである。

  • 人間が「草刈鎌」を使って雑草を刈っていることに違いはない。

  • 雑草を刈る場所の状況に応じて刈刃を選定し、その刃に適した「上手な刈り方」で草刈の良し悪しが決まる。

この格言に触れたとき、私が感じていた疑問の答えがすべて繋がりました。草刈機が「鎌」であるならば、主役はどこまでいっても人間側の「身体の動き(エルゴノミクス)」です。今回、行ったハンドルオフセットやシマノ製レバーへの換装、およびタコメーターによるデータ化は、すべて「人間が鎌を最も疲れにくく、最も安全に、高い刃物性能を発揮させて振り抜くため」の調律に他なりません。

メーカーはこうした流用カスタマイズを推奨していませんが、強度、耐久性、そして、音や回転数から機械のわずかな不調を察知する「点検整備の知識」があれば、草刈機は自転車と同じように、安全で愛着の湧く素晴らしい相棒になります。
フィールドの状況を理解し、疲れにくい重心を考え、的確に道具を使いこなすこと。安全装置はシステムではなく、「自分自身」であることを忘れてはいけないのです。
カスタマイズを施した理想の相棒と共に、今シーズンも安全第一でフィールドの維持管理に向き合っていきます。

道具をカスタムし、山林の機動力を上げたら
草刈機を自分に最適化してフィールドの管理がスムーズになると、次にこだわりたくなるのが「刈り取った小径木や薪の効率的な固定・運搬」です。林業や狩猟のプロも現場で愛用する、ロープの力を3倍にして重量物を引き揚げる「滑車を使ったロープワーク術」は、こちらの記事で図解しています。

狩猟者のためのロープワーク講座「3倍力+定滑車システムを使いこなせ!」

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