肥前狛犬を巡る旅「鍋島」
ブリット野口です。
「自転車観光は定着するのか?」
佐賀県は令和3年度予算にサイクルツーリズム推進事業を計上している。
サイクルツーリズムの魅力発信と受入環境の整備を一体的に行うことにより、誘客を通じた新たな交流の創出、地域活性化を図ると共に「歩くライフスタイル」の推進につなげることを目的としている。
歩くライフスタイルとは、歩くきっかけや楽しさを提案するとともに自転車や公共交通の利用を促進することにより、自家用車に依存したライフスタイルの転換を促し、人的交流の活性化を通じた地域の魅力向上と生活の質の向上を図る取り組みのこと。
サイクルツーリズムの推進により、新たな観光コンテンツを創出し、より多くの人が佐賀を自転車で楽しむ仕組みを構築し、自転車活用の推進を図ることが狙いだ。
具体的な取り組みとして、レンタサイクルの導入、サイクルラックの設置、サイクルイベント開催に要する費用の補助を計画している。
「サイクルガイドツーリズムの切り口」
地域の魅力を伝えるには、自転車散策がオススメ。クルマが通らない旧道をのんびり走り、路地や地形から集落の成り立ちや地域の生活様式を想像する。そんな「ブラタモリ」のような自転車散策が最近のお気に入り。
「佐賀県内に残る肥前狛犬を巡る」
肥前狛犬を巡る旅は、多久、小城と続き、今回で3回目の開催となった。ガイドは、小城で肥前狛犬巡りにハマった自転車愛好家のK氏。鍋島地区の神社や祠に奉納された肥前狛犬や肥前鳥居を探し出し、旧道を軸にした自転車と相性の良いルートを案内してくれた。肥前狛犬巡りは、チェックポイントを巡り、スタンプを集める「スタンプラリー」に似ている。
「鍋島を起点にしたルート」
走行距離:15㎞、走行時間:1時間、狛犬巡り:1時間
「英国製折畳自転車BROMPTON」
参加者はブロンプトンに跨がり、2時間の自転車散策を楽しんだ。
「蛎久天満宮」
おみくじに一喜一憂する参加者。
「肥前鳥居のある参道」
神社や祠がキレイに清掃され、地域住民から大切にされていることがわかる。
「完全体に近い肥前狛犬が祭られた祠」
農作業をしている住民に挨拶をすると、肥前狛犬のことを全く知らなかった。
「参加賞」
自転車散策が終わり、鍋島に戻る。イノシシ肉を使った「シシケバブサンド」と「ゆずシロップ」を参加者へ提供。
「2輪+2輪も遊び方のひとつ」
モーターサイクル愛好家のS氏は本田製の小型自動二輪で伊万里から参加。旧いモーターサイクルは仕組みがシンプルで整備が楽しい。速度が出ないので自転車感覚で遊べる。自転車散策はブロンプトンをレンタル。
「ポケモンGOより難易度高め」
肥前狛犬は盗難防止で所在地を明かされていない。地図を読み、神社や祠を探し、自転車で現地へ向かう。そこに肥前狛犬が存在する確率は低く、無駄足になることがほとんど。従って、見つけたときの喜びは筆舌に尽くし難い。『ポケモンGO』より頭を使う高度な遊びだ。
「肥前狛犬とは?」
江戸時代中期以降、神社に奉納された狛犬のほとんどが唐獅子形狛犬であり、16~18世紀の160年間に佐賀、長崎、福岡の一部で奉納された狛犬を「肥前狛犬」と呼ぶ。全体的に小型で弧線と直線の組合せを基本として単純化しながら、細部の特徴を誇張している。多久市内の神社や祠には約30対、約65体の肥前狛犬が奉納されている。小城市でも多数の肥前狛犬が確認されている。