2025年以降の自転車販売の傾向と対策

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ブリット野口です。

市場の潮流と存続への羅針盤
2025年、自転車市場は新たなステージへと突入している。コロナ禍で一気に加速した需要は落ち着きを見せつつも、人々の健康志向や環境意識の高まりは依然として強く、市場は成熟期を迎えつつある。

今後の自転車業界の傾向について、課題、市場のトレンドを分析すると、新しい価値の提供が必要になる。

自転車業界が直面する課題
業界の動向を分析すると、以下の3点の課題が浮かび上がる。
1.サプライチェーンの複雑性
自転車の部品はグローバルなサプライチェーンによって供給されており、一部の部品メーカーに依存しているため、世界的な需要の変動や物流の混乱が製品の供給不足や価格高騰を引き起こす可能性がある。
2.原材料価格の高騰
鉄鋼やカーボンファイバーなどの原材料価格の上昇は、製品価格に直接影響し、消費者の購買意欲に影響を与える可能性がある。
3.販売店の高齢化
地方の自転車店では、経営者の高齢化や後継者不足が深刻な問題となり、メンテナンスや修理サービスを提供する店舗が減少し、地域の自転車利用環境が損なわれるリスクがある。

2025年以降の市場トレンド
市場の動向を分析すると、以下の3点のキーワードが鍵となる。
1.Eバイク市場の飛躍的な拡大
E-BIKE(電動アシスト自転車)は、もはや単なる「坂道楽々」な乗り物ではなく、都心部での通勤・通学、趣味のサイクリング、そして、物流におけるラストワンマイルのソリューションなど、その役割は増えていく。
世界のE-BIKE市場は、年平均成長率(CAGR)で二桁台の成長を続け、2025年以降もその勢いは衰えない。特に、バッテリー技術の進化による航続距離の延長や、軽量化された車体、そしてデザイン性の向上が、新たな顧客層を引きつけていく。
2.消費者の二極化と「体験」への価値転換
自転車市場は、ロードバイクやグラベルバイクといった趣味性の高い高級モデル、日常の足としての実用的なエントリーモデルの二極化が進む。
高級モデルの購入者は、単に自転車を所有するだけでなく、その自転車を通じて得られる体験(例:ロングライドの達成感、カスタムの楽しさ、仲間との交流)に価値を見出す。彼らは、情報収集に熱心で、専門性の高い知識やサービスを求めていく。
エントリーモデルの購入者は、価格や利便性を重視するため、E-BIKEや折り畳み自転車は、この層の需要を捉えるためにコストダウンが必要になる。
彼らにとって、自転車は生活を豊かにするためのツールであり、購入後のアフターサービスやメンテナンスの容易さが重要となる。
3.サステナビリティとSDGsへの関心
環境問題への意識が高まる中、自転車はサステナブルな移動手段として再評価されていく。カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みとして、企業や自治体が自転車通勤を推奨する動きが加速しながら、中古自転車の流通や、シェアリングサイクル、サブスクリプションサービスの需要を押し上げる。そして、新たなビジネスモデルが生まれる。

これからの自転車ビジネスに必要な対策
これらの業界の課題と市場トレンドを踏まえると、自転車販売店が取るべき対策は以下の3点になる。
1.ターゲット顧客を絞り込んだ「専門特化型」の展開
すべての顧客に通用する店舗は、もはや成功しにくい時代のため、「誰に、どんな価値を提供するのか」を明確にする。
➀Eバイク専門店
試乗コースを充実させ、バッテリーの選び方やメンテナンス方法について丁寧に説明する。通勤利用を想定したアクセサリー(バッグ、ライトなど)を豊富に揃え、ライフスタイルに合わせた提案を行う。
➁ロードバイク・カスタム専門店
フレームからパーツまで、顧客の好みに合わせた一台を組み上げる「フィッティングサービス」を提供する。高性能なパーツの品揃えを強化し、専門知識を持つスタッフによる深いコンサルティングを行う。
➂ファミリー向け店舗
子供乗せ自転車やママチャリに特化し、試乗はもちろんのこと、安全講習やメンテナンス教室を開催して、子育て世代の不安を解消する。
2. オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネル戦略
現代の消費者は、オンラインで情報収集を行い、オフライン(実店舗)で購入するという行動が一般的である。この流れに合わせた戦略が不可欠となる。
➀オンライン
ウェブサイトやSNS、動画コンテンツで、製品の詳細情報、使い方、メンテナンス方法などを発信する。ブログ記事やYouTubeチャンネルは、見込み客にリーチするための強力なツールとなる。
➁オフライン
オンラインで得た知識を活かして、顧客に直接体験を提供する。試乗会やイベント、ワークショップを開催し、オンラインでは得られない「生きた体験」を提供することで、購入へとつなげる。また、メーカーオンラインで購入した自転車の組み立てやメンテナンスを実店舗で受け付けるサービスが広がっていく。
3. 継続的な顧客関係を築く「コミュニティ・ビジネス」
自転車販売は「売って終わり」のビジネスではない。購入後のサポートを通じて、顧客との長期的な関係を築くことが、リピーターや口コミを生み出す鍵となる。
➀イベントの開催
初心者向けのパンク修理講習会、グループライド、カスタム相談会などを定期的に開催する。これらのイベントは、顧客同士の交流の場となり、店舗へのロイヤリティを高める。
➁サブスクリプションサービス
自転車の販売だけでなく、定期的なメンテナンスサービスをセットにしたサブスクリプションモデルを導入する。これにより、安定的な収益を確保しつつ、顧客の安全な自転車ライフがサポートできる。
➂SNSの活用
FacebookやInstagramで、購入された自転車の写真やイベントの様子を投稿し、顧客が「コミュニティの一員」であることを実感できるようにする。ハッシュタグキャンペーンなども有効である。

まとめ
2025年以降の自転車販売は、単に商品を並べるだけでは生き残れない。市場の二極化、E-BIKEの台頭、サステナビリティへの意識といった変化を敏感に捉え、顧客が真に求めている「体験」や「価値」を提供することが、存続の鍵となる。

自転車販売は、人々のライフスタイルを豊かにする素晴らしい仕事であるが、多様なニーズに応える専門性と顧客との強い絆を武器に、新たなビジネスを創造していかないと、地方の自転車店は存続が厳しいと感じている。

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