自転車店主がロードバイクで学んだ「人生を変えるPDCA」と「静かなる思考法」
ブリット野口です。
ロードバイクは私にとって「人生の教科書」である
自転車店主である私にとって、ロードバイクは単なる運動器具や商売道具ではありません。ロードバイクは人生の教科書であり、最も信頼できるコーチでもあります。多くの方がロードバイクのフィジカルな効果「体力向上やダイエット」を期待して始めますが、私が3年間、週3回のトレーニングを通じて得た最大の財産は、フィジカル以外の学びでした。それは、数字で現実を直視する力、深い思考を促す時間、そして、決めたことをやり抜く継続力です。
今回は、私がトレーニングを通じて体得した、ビジネスや日常生活に活きる「3つの学び」を共有します。
⒈ データが教える「失敗を恐れないPDCA」
①感覚から客観へ「パワーメーターが変えた思考法」
以前、私はトレーニングを「頑張った」「きつかった」という主観や感覚に頼っていました。しかし、サイクルコンピューター、心拍計、そして、パワーメーターを導入したことで、トレーニングはすべて客観的な数字に変わりました。例えば、追い込んでいるつもりでも、パワーメーターを見れば目標の250Wに届いていないことが一目瞭然です。この経験が私に教えてくれたのは、「測定できないものは改善できない」というビジネスの鉄則です。
ロードバイクは、明確な入力(ペダリング)に対して、明確な出力(W/kg)という結果を返してきます。これは、仕事における「努力」と「成果」の関係そのものです。感覚を疑い、数字で現実を直視し、次の打ち手を論理的に考える問題解決能力が徹底的に鍛えられました。
②FTPテストとビジネスの目標設定
自分の限界を示す指標であるFTP(Functional Threshold Power)の測定と向上は、ビジネスにおける目標設定(KPI)のプロセスと酷似しています。
ベンチマーク(現状のFTP)を設定する。目標値(次回のFTP)を設定し、そこに至るまでの計画(トレーニングメニュー)を設計する。定期的に実行し、データ(パワー、心拍)とのズレを修正する。データが蓄積されることで、「去年の自分」との比較が可能になり、成長が可視化されます。この小さな成長の確認こそが、モチベーションを維持し、長期的な挑戦を成功させるための最大の燃料となるのです。
⒉「深い思考」を可能にする走行環境
①ローラーと「静かなる内省の時間」
決まったコースを1時間走る、あるいはローラーに乗る。この単調で予測可能な環境こそが、私にとって最高の思考空間です。ペダリングというリズミカルな反復運動は、脳をリラックスさせ、半瞑想状態に導きます。身体は動いていても、周囲の刺激が少ないため、意識は「内側」へと向かいます。この時間は、日々忙殺されて後回しになりがちな「本当に考えるべきこと」に集中できるのです。店の経営課題、新しいアイデア、人間関係の整理など、脳の優先度の高い思考が自然と行われます。この運動中の思考は、机の上で悩んでいるときよりも冷静で、建設的です。それは、リズミカルな運動がセロトニンの分泌を促し、ストレスを軽減してくれるからです。
②デジタルデトックスとマインドフルネス
ロードバイクに乗る時間は、スマートフォンやパソコンから意識的に離脱するデジタルデトックスの時間でもあります。疲弊した脳の「注意資源」は、運動と現実に注意を向けること(路面、風、ペダリング効率)によって回復します。
呼吸のリズム、ペダルの感触に意識を集中させることは、まさにマインドフルネスの実践です。過去の後悔や未来の不安から離れ、「今、ここ」に集中する習慣は、日常生活の精神的な安定に大きく貢献します。
⒊継続が作る「自己効力感」という財産
①規律性の獲得と自己効力感
「3年間、週3回」という目標を達成したことは、私に強固な規律性と自己管理能力を与えてくれました。トレーニング時間を捻出するために、仕事の優先順位を明確にし、効率的な時間の使い方が自然と身についたのです。
そして、何より、「自分は決めた目標をやり遂げられる人間だ」という自己肯定感(自己効力感)が揺るぎないものになりました。この自信は、次にどんな困難な課題に直面しても立ち向かえる、人生における最も大きな財産です。
②店主としての深化
この経験は、自転車店主としての私を深くしました。お客様が「坂道がきつい」「モチベーションが続かない」と話すとき、単なる知識ではなく、実体験とデータに基づいた共感をもって応えることができます。
まとめ
ロードバイクは、単なる体づくりではなく、論理的な思考力、深い内省の時間、そして、強靭な自己効力感という、人生の質を高めるための最高の自己投資です。
私の店では、お客様の「身体の外側(機材)」だけでなく、「身体の内側(マインド)」もサポートしたいと考えています。
ぜひ、あなたのサイクリングで得た学びも聞かせてください。
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