第1回:52歳、5年ぶりの再起動。RNC7とパワータップで挑むリアルデータ
ブリット野口です。
自転車店「CS BULLITT」を営む私にとって、自転車は日常だ。しかし、「心拍160を超える苦しみ」からは、5年もの間、遠ざかっていた。
52歳。鏡に映るのは、かつての面影が薄れた自分だ。現在の体重は70kg。
「100日で5kg絞る」
この決意を単なる精神論に終わらせないため、私はAI(Gemini)をコーチに据え、徹底的なデータ主義で挑むことにした。
1. 計測の「精度」を疑うことから始まる
5年ぶりの再始動。まず、手にしたのは自転車ではなく、テスターだった。センサー類のボタン電池を一つずつ測る。2.7V、2.8V……。新品の3.0Vを割り込んだそのコンマ数ボルトの電圧降下が、データの「嘘」を招く。心拍ベルトの異常も見逃さない。180bpmという異常値を示したベルトを潔く捨て、計測環境を整える。
正確なデータが取れないなら、走る意味がない。
2. 2月25日、168bpmの洗礼
愛車はアンカー・RNC7。クロモリの名機に、ハブ計測のパワータップG3を組み込んだ手組ホイール。最新のカーボンバイクではない。自分の身体の「しなり」を最も正確に伝えてくれる戦友だ。
初回のメニューは、アップ・ダウンを含む40分。メインの30分間はケイデンス100を死守する。
①平均パワー:129W
②平均心拍:158bpm(最大168bpm)
③平均ケイデンス:104rpm
④平均速度:29.9km/h
⑤気温:11度。
寒いはずのガレージで、心拍は168まで跳ね上がった。かつての自分ならアップ代わりだった129Wが、今の私には限界領域だ。あと0.1km/h届かなかった「時速30km」という数字が、今の私の実力値を残酷に、そして、正確に突きつけてきた。
3. 身体の「不協和音」
漕ぎながら、自分の身体が奏でる「ズレ」に愕然とする。クランク長167.5mm。装着した楕円リングは、右脚の下死点でスカッと抜け、上死点で抵抗として立ち塞がる。腹圧をかければ心拍は落ち着くが、代償として腸腰筋がロックされ、足が上がらなくなる。かつての私は、もっとしなやかに、体幹と四肢が連動していたはずだ。バラバラになった身体のパーツを、もう一度一つの「機械」として組み直す作業が必要だ。
4. 動き出した「組成」
翌日、Withingsのスマートスケールが面白い数値を叩き出した。
①体重:65.4kg(-1.0kg)
②筋肉率:74.6%(+1.4%)
③脂肪率:21.1%(-1.5%)
間食を断ち、一度、心拍を追い込んだだけで、身体のスイッチが入った。脂肪という鎧を脱ぎ、筋肉というエンジンを再起動させる。
100日後、65kg、体脂肪率18へ。
データは揃った。ここから、52歳の再構築が始まる。
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