狩猟者のためのロープワーク講座「3倍力+定滑車システムを使いこなせ!」

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ブリット野口です。

狩猟で獲物を仕留めた後、大型の獲物を回収する作業は重労働です。一人で獲物を動かすのは非常に困難ですが、そんな時に役立つのが「倍力システム」です。
これは、最小限の力で重いものを動かすことを可能にする、物理の原理を応用したテクニックです。
今回は、狩猟で特に役立つ「3倍力+定滑車システム」に焦点を当てて解説します。

1. なぜ狩猟に倍力システムが必要なのか?
狩猟において、倍力システムは様々な場面で活躍します。

①獲物の引き出し
傾斜地や障害物が多い場所から、重い獲物を効率的に引き出すことができます。
②解体・吊り下げ
獲物を木に吊るして解体する際、安全かつ容易に持ち上げることができます。
③罠の設置・回収
重量のある罠を設置したり、回収したりする際にも、倍力システムが役立ちます。

これらの作業を力任せに行うと、怪我のリスクが高まるだけでなく、時間や体力を無駄に消費してしまいます。倍力システムは、まさに狩猟者の「隠れた武器」と言えるでしょう。

2. 3倍力+定滑車システムの基本原理
このシステムは、ロープと滑車を使って力の方向を変え、力を増幅させるものです。基本となるのは、「Zシステム」と呼ばれる3倍力システムに、さらに「定滑車」を1つ加えることで、引き上げる方向を変え、作業性を向上させたものです。

【システムの構成要素】
①アンカーポイント(支点)
獲物の重さに耐えられる、動かない頑丈な木や岩など。
②プーリー(滑車)
ロープの摩擦を減らし、力をスムーズに伝達する滑車のこと。
③ロープ(ザイル)
獲物とアンカーポイントを結ぶ、倍力システムの要となる紐のこと。
④カラビナ
ロープと滑車、またはロープとアンカーポイントを接続する金具のこと。
⑤プルージックノット(摩擦結び)
ロープを一方通行に固定し、引いた力が戻るのを防ぐ紐のこと。

【3倍力(Zシステム)の仕組み】
①獲物とアンカーポイントを、1本のロープで結びます。
②獲物側のロープにプルージックノットを作り、そこに滑車を取り付けます。
③アンカーポイント側のロープにも滑車を取り付けます。
④この2つの滑車にロープを通し、Zの字のように配置します。
⑤このシステムでは、ロープを引く力は理論上、3倍になります。つまり、100kgの獲物を動かすのに、約33kgの力で済む計算です。

【定滑車の追加】
Zシステムの末端に、さらに定滑車を1つ追加します。この滑車を介してロープを引くことで、力の方向を自由に調整できます。
例えば、獲物を真上に引き上げたい場合、ロープを地面と平行に引くことで、より楽な姿勢で作業を進めることが可能になります。

3. 狩猟で役立つロープワーク:必須の結び方
倍力システムを組むためには、いくつかの基本的な結び方をマスターしておく必要があります。

①プルージックノット(摩擦結び)
Zシステムには欠かせない結び方です。荷重がかかるとしっかり締まりますが、荷重が抜けると簡単にスライドさせることができます。これにより、少しずつ獲物を引き上げることが可能になります。
②クローブヒッチ(巻き結び)
アンカーポイントにロープを結びつける際に便利な結び方です。締め付けが強く、緩みにくいため、しっかりと固定したい場合に適しています。
③ボーラインノット(もやい結び)
輪を作りたいときに使う結び方です。絶対にほどけないことで知られ、「結び目の王様」とも呼ばれます。獲物にロープを結びつける際などに使えます。

4. 安全第一!倍力システム使用上の注意点
倍力システムは非常に強力なツールですが、使い方を誤ると危険を伴います。急に力を加えると、ロープや機材に過度な負担がかかり、破損する可能性があります。少しずつ、ゆっくりと力を加えて引き上げましょう。
①アンカーポイントの選定
獲物の重さに耐えられる、非常に頑丈なものを選びましょう。腐った木や細い枝は絶対に避けてください。
②ロープの強度
使用するロープは、荷重に耐えうる十分な強度があるものを選びましょう。定期的に劣化がないか確認することが重要です。
③システムの点検
獲物を動かす前に、全ての接続箇所(結び目、カラビナ、滑車)が正しく、安全に固定されているかを必ず確認してください。

まとめ
狩猟は、自然と向き合う真剣な営みです。道具を使いこなし、安全に楽しむための準備を怠らないことが、何よりも重要です。







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