狩猟が繋ぐ、愛犬とのサステナブルな関係とは?
ブリット野口です。
新しい選択肢としてのジビエペットフード
近年、愛犬家の間で「ペットフードの原材料」への関心が高まっています。ドッグフードのパッケージに書かれた見慣れない原料名や、人工的な添加物に不安を感じる方も少なくありません。そんな中、新たな選択肢として注目を集めているのが、「ジビエ(野生鳥獣肉)ペットフード」です。
今回は、一見意外な組み合わせに見える「狩猟」と「ペットフード」が、なぜ今、私たちと愛犬にとって重要なテーマになりつつあるのか、その魅力と背景について深く掘り下げていきたいと思います。
狩猟が「害獣駆除」から「資源活用」へ
日本では、猪や鹿といった野生鳥獣による農作物被害が深刻な問題となっており、令和5年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は、164億円(対前年度+8.0億円)です。このため、多くの地域で個体数調整のための「有害鳥獣駆除」が行われています。しかし、駆除された獣の多くは、これまでは有効活用されずに処分されていました。これは、せっかくの命が無駄になってしまうだけでなく、処分にかかるコストや環境負荷も大きな課題でした。
この現状を解決しようと、一部の猟師や団体が立ち上がりました。それが、駆除された野生鳥獣の肉を食肉として活用する「ジビエ」の取り組みです。そして、このジビエは人間が食べるだけでなく、ペットフードの原材料としても優れた資質を持っていることがわかってきました。
ジビエペットフードが選ばれる3つの理由
ジビエペットフードが、愛犬家たちに選ばれるのには明確な理由があります。
1. 高い栄養価とヘルシーさ
野生で育った鹿や猪は、自然の植物や木の実を食べ、広大な山を駆け回るため、引き締まった赤身の肉が特徴です。鶏肉や牛肉、豚肉に比べて高タンパク・低カロリーであり、脂質も少ないため、ダイエットや肥満気味の愛犬にも適しています。さらに、鉄分やミネラル、ビタミンB群などが豊富に含まれており、皮膚や被毛の健康維持、筋肉の維持にも役立ちます。
2. アレルギー対応食としての可能性
市販のドッグフードの多くは、鶏肉や牛肉、穀物などが主原料となっています。しかし、これらにアレルギーを持つ愛犬も少なくありません。一方で、野生動物の肉は、家畜のように人工的な飼料や抗生物質を摂取していないため、アレルギー反応を起こしにくいという利点があります。特定のアレルギーを持つ愛犬の「タンパク源のローテーション」として、ジビエ肉を与えるケースも増えています。
3. サステナブルな消費行動
ジビエペットフードを選ぶことは、環境問題や社会貢献に繋がる、サステナブルな消費行動です。無駄になっていた命を有効活用することで、フードロスを削減し、駆除活動に関わる猟師の支援にもなります。私たちは、愛犬に安心できる食事を与えることで、間接的に地域社会や環境保護に貢献することができるのです。
ジビエペットフードを選ぶ際の注意点
良いことばかりのように聞こえるジビエペットフードですが、選ぶ際にはいくつか注意点があります。
1. 衛生管理の徹底
ジビエは野生動物の肉のため、適切な処理がされていない場合、食中毒のリスクがあります。信頼できる業者や、国の基準(HACCPなど)に沿った衛生管理を行っている施設で加工されたものを選ぶことが非常に重要です。
2. 原材料の確認
「ジビエ」と書かれていても、添加物が多く含まれていたり、ごくわずかしかジビエ肉が使われていない商品もあります。原材料表示をよく確認し、無添加・無着色で、ジビエ肉の含有量が多いものを選ぶようにしましょう。
3. 愛犬の体調を観察する
新しいフードに切り替える際は、愛犬の体質に合うかどうかを少量ずつ試すことが大切です。便の状態や、アレルギー反応など、体調に変化がないかをよく観察しましょう。
狩猟とペットフードが結ぶ、未来の食卓
狩猟とペットフード。この二つのキーワードは、私たちが普段当たり前に食べている食肉や、愛犬のご飯の裏側に隠された、様々な社会問題や環境問題に目を向けるきっかけを与えてくれます。
狩猟は、単に野生動物を獲ることだけではありません。それは、自然との共存、地域社会の課題解決、そして命を無駄にしないという哲学に繋がっています。そして、その哲学は、愛犬の健康を願い、より良い食事を選びたいと考える私たちの想いとも重なります。
これからの時代、愛犬の食卓は、単なる栄養補給の場ではなく、私たちの暮らしが、社会や環境とどのように繋がっているのかを考える場になるでしょう。
ジビエペットフードという選択肢は、愛犬の健康と、持続可能な社会の両方を考える、新しいライフスタイルの提案なのです。
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