唐津市のサイクルツーリズムとアドベンチャートラベル、そして、未来とは?
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ブリット野口です。
ルート・グランブルーの輝きを世界へ
唐津市の美しい海岸線を舞台にした「ルート・グランブルー」は、サイクルツーリズムとアドベンチャートラベルを融合させたユニークな地域振興策として注目を集めています。
玄界灘の青い海、歴史ある町並み、そして自然が織りなす絶景を五感で感じられるこのルートは、単なるサイクリングコースではなく、自転車とマリンアクティビティを組合わせることで、価値を高める可能性を秘めています。
この記事では、ルート・グランブルーを、サイクルツーリズムとアドベンチャートラベルという二つの視点から深く掘り下げ、その現状と可能性、そして持続可能な発展に向けた課題と解決策を考察します。
サイクルツーリズムの視点から見るルート・グランブルー
<インフラと魅力>
ルート・グランブルーは、約20kmのドライブルートとして命名されています。交通量が少ないので、初心者からベテランまでサイクリングルートとしても楽しむことができます。
単調な舗装路ではなく、海沿いの風を感じながら走るダイナミックなコースです。唐房バイパスを起点に、立神岩の風光明媚な景色を眺めながら、七ツ釜、呼子、波戸岬へ向かうルートは、まさにサイクリングの醍醐味を凝縮しています。
しかし、現状の課題も見え隠れします。まず、ルート上の情報提供が不十分な箇所が散見されます。
例えば、トイレや休憩所の位置、周辺の観光スポットや飲食店に関する情報が、初めて訪れるサイクリストにとっては分かりにくい場合があります。また、レンタサイクルステーションの拡充も課題です。特に、高性能なロードバイクやE-BIKEの需要が高まっている中で、その選択肢が限られていることは、より多様なニーズを持つサイクリスト層を取り込む上で障壁となります。さらに、サイクリストフレンドリーな宿泊施設や飲食店、例えば、自転車の持ち込みやメンテナンススペースを提供するといったサービスの充実も、さらなる魅力向上に繋がります。
アドベンチャートラベルの視点から見るルート・グランブルー
<体験価値の創造>
ルート・グランブルーは、世界的な伝説のダイバー「ジャック・マイヨール氏」の映画タイトルから、その名はつけられています。ジャック・マイヨール氏は、幼少期に家族とともにバカンスに訪れた唐津の海で泳ぎ、この海をこよなく愛していました。その後も唐津を訪れ、地元のダイバーや人々と触れ合い、交流を深めていました。
従って、「海」を軸にしたアドベンチャートラベルとしてのポテンシャルを秘めています。アドベンチャートラベルとは、「アクティビティ」「自然」「文化」の3つの要素を組み合わせた旅行形態です。この観点から見ると、ルート・グランブルーには、「マリンアクティビティ」に加え、玄界灘の豊かな「自然」、そして唐津城や呼子朝市といった「文化」がシームレスに結びついています。
しかし、この潜在能力を最大限に引き出すには、より戦略的なアプローチが必要です。現状では、ダイビング、ウェイクボードが主軸であり、そこに「学び」の要素を付加する試みが限定的です。
例えば、単に景勝地を巡るだけでなく、地域の漁師さんと一緒に漁を体験したり、陶芸家から唐津焼の絵付けを学んだりといった、より深く、地域と関わるプログラムの導入が考えられます。
また、シーカヤックやSUP(スタンドアップパドルボード)など、マリンアクティビティとサイクリングを組み合わせることで、ルート・グランブルー全体の体験価値を向上させることができます。これらの要素を組み合わせたガイドツアーの提供は、アドベンチャートラベルを求める層にとって、大きな魅力となるでしょう。
課題と解決策
ルート・グランブルーの未来へ
ルート・グランブルーの魅力をさらに引き出し、持続可能な地域振興策とするためには、以下の課題と解決策を検討する必要があります。
課題➀:情報提供の不十分さ
<解決策>
多言語対応のデジタルマップやアプリを開発し、ルート情報、休憩所、観光スポット、グルメ情報をリアルタイムで提供する。QRコードを活用して、ルート上のポイントで詳細情報を簡単に取得できるようにする。また、サイクリスト向けの「おもてなしマップ」を作成し、サイクリストフレンドリーな店舗を可視化する。
<補足>
唐津市のサイクルツーリズム事業で、ルート・グランブルーの枝別れコースである「呼子発陣跡巡りコース」と「呼子発加部島コース」を唐津観光協会が公開している。
唐津サイクルツーリズム・呼子発陣跡巡りコース
課題②:レンタサイクルとサービスの多様性の不足
<解決策>
高性能なE-BIKEやロードバイクの導入、ファットバイクなど、多様なニーズに応える車種を拡充する。レンタサイクル事業者のネットワークを強化し、借りた場所と異なる場所で返却できる「ワンウェイサービス」を導入する。
<補足>
電動アシスト自転車のレンタサイクル事業者は増えている。
唐津キャッスル
呼子・ROG
唐津・カラエ
課題③:アドベンチャートラベルの体験価値の低さ
<解決策>
サイクリングと組み合わせた体験プログラム(例:漁業体験、陶芸体験、シーカヤックツアー)を開発し、旅行会社や地域の事業者と連携して販売する。地域のガイドを育成し、歴史や文化、自然に関する深い知識を提供できるようにする。
<補足>
日本旅行が唐津市のアドベンチャートラベル造成事業でサイクルガイドツアーを造成し、販売している。
唐津アドベンチャートラベル
課題④:地域の事業者との連携不足
<解決策>
ルート・グランブルーを軸とした協議会を設立し、観光協会、商工会、漁業協同組合、宿泊事業者、飲食店などが一体となって施策を推進する。定期的な意見交換会やワークショップを開催し、事業者間の連携を深め、新たな商品やサービスの開発を促す。
<補足>
唐津の潮風を感じながら、電動トゥクトゥクで「ルート・グランブルー」を巡るエコツアーが実施されている。
グランブルー・アクティビティ・レンタカー
課題⑤:認知度とブランディングの不足
<解決策>
「ルート・グランブルー」のブランドイメージを確立するため、国内外のサイクリングイベントやアドベンチャートラベルの博覧会に積極的に出展する。インフルエンサーやメディアとの連携を強化し、ルート・グランブルーの魅力を発信する。特に、SNSを活用した写真コンテストや動画コンテストは、口コミによる拡散効果が期待できる。
<補足>
佐賀県観光課は、サイクルツーリズムの情報発信を「佐賀サイクリングクラブ」で実施している。以下の事業との相乗効果が期待される。
1.委託事業名
令和7年度グランブルー・ツーリズム広報戦略策定及び情報発信事業
2.契約者名
ラブエフエム国際放送株式会社
結論
唐津市のルート・グランブルー事業は、サイクルツーリズムとアドベンチャートラベルという二つの強力な軸を持つ、非常にポテンシャルの高い地域振興策です。美しい景観、豊かな自然、そして、深い文化という、地域が誇る資源を最大限に活かすためには、単なるインフラ整備に留まらず、情報提供のデジタル化、サービスの多様化、そして、地域住民や事業者との連携を強化することが不可欠です。これらの課題に真摯に向き合い、解決策を実行していくことで、ルート・グランブルーは、日本のサイクリングシーン、そして、アドベンチャートラベル市場において、揺るぎない地位を築き、唐津市の持続可能な未来を拓く羅針盤となるでしょう。
ルート・グランブルーの輝きを世界に発信するその旅路は、始まったばかりです。
<参考資料>
唐津市観光地経営戦略プラン 2025年版
Tags: アドベンチャートラベル.サイクルツーリズム, サイクリング, ルート・グランブルー