サイクルベースあさひ2025年決算が示す自転車業界の未来予測

Categorised in: ,

ブリット野口です。

あさひの決算書とレポートは自転車業界の未来を予測するのに非常に参考になります。
そして、あさひの成長戦略は、弱小自転車店の当店にも、わずかな希望を与えてくれます。
サイクルベースあさひ

2025年決算が示す自転車業界の未来予測
「次なる成長ステージへ」
2025年2月期のサイクルベースあさひの決算報告は、単なる一企業の業績報告に留まらず、日本の自転車業界が直面する変革と未来の可能性を鮮やかに描き出しています。
売上高815億円、当期純利益35億円という力強い数字の裏には、成熟市場における新たな成長戦略が隠されています。この決算から、これからの自転車業界を読み解く鍵となる三つのトレンドを予測します。

1. 高付加価値化へのシフト
「電動アシスト自転車とスポーツサイクルの牽引」
報告書によると、サイクルベースあさひの品目別売上高は、電動アシスト自転車が238億円、スポーツサイクルが232億円と、この二つのカテゴリーが売上を大きく牽引しています。
これは、単なる移動手段としての「シティサイクル」(133億円)から、趣味や健康増進、環境配慮といった多様な価値を持つ高機能・高単価な自転車へと、消費者のニーズがシフトしていることを明確に示しています。
特に、同社のプライベートブランドである電動アシスト自転車「エナシス」シリーズは、市場全体の販売台数が減少傾向にある中で、売上を大きく伸ばし、大手ナショナルブランドに次ぐ規模にまで成長しました。この動向は、今後も高価格帯の製品が市場を活性化させる原動力となり、メーカー各社は単なるコスト競争から、製品の性能、デザイン、そしてブランドが提供する「体験」を重視する方向へと舵を切っていくでしょう。

2. OMOと専門性による顧客体験の深化
「デジタルとリアルの融合」
2025年2月期、サイクルベースあさひのEC化率は16.0%に達し、オンラインとオフラインをシームレスに融合させるOMO戦略を推進しています。
これは単にネットで販売するだけでなく、リアル店舗が持つ「接客」「専門性」「アフターサービス」という強みを最大限に活かす取り組みです。
特に、高価格帯の自転車ほど、消費者は実物を確認し、フィッティングや専門的なアドバイスを求めて店舗に足を運びます。自転車安全整備士や自転車技士といった専門人材の育成に注力しているのは、まさにその現れです。また、公式アプリを通じた定期点検のお知らせや、バッテリー交換時期の通知など、購入後の顧客との関係性を継続的に深めるCRM(顧客関係管理)も強化しています。これは、自転車が「売り切り」ではなく、「生涯にわたるパートナー」へとその存在価値を高めていることを示唆しています。

3. 循環型社会への貢献と事業領域の拡大
「リユース事業とBtoBビジネス」
サイクルベースあさひは、自社の店舗網、専門知識、物流基盤を活かしてリユース事業を新たな事業の柱に据えようとしています。
この動きは、サステナビリティへの関心の高まりだけでなく、高価格帯の自転車を長く大切に使いたいという消費者の志向の変化にも応えるものです。さらに、長年培ってきたノウハウやプライベートブランド商品を他社に提供するBtoB事業も拡大しており、業界全体の活性化に貢献することで、リーディングカンパニーとしての責任を果たそうとしています。
これらの事業領域の拡大は、自転車販売という従来のビジネスモデルを超え、自転車を核とした多様なサービスとソリューションを提供する「自転車ライフソリューション企業」への進化を物語っています。

まとめ
2025年2月期のサイクルベースあさひの決算は、自転車業界の未来が「価格」ではなく「価値」によって定義されることを示しています。高機能・高価格帯製品へのシフト、OMOによる顧客体験の深化、そして、循環型社会への貢献と事業領域の拡大という三つのトレンドは、これから自転車業界が歩むべき道筋を示しています。これらの動向をいち早く捉え、実行する企業こそが、次なる成長ステージの主役となるでしょう。

Tags: