「くくり罠」猟期1ヶ月前の準備「豊作の秋と半減の猪、どう攻める?」
ブリット野口です。
いよいよ猟期が始まる1ヶ月前。山は秋の実りで賑わい、私たちの準備も本格化する時期です。
今年の佐賀県内の状況は例年と違う点が多く、特に「捕獲頭数の半減」という衝撃的な情報を踏まえ、入念な準備と緻密な戦略が成功の鍵を握ります。
1.衝撃!捕獲頭数半減の真相と猟場戦略
近隣の猟友会からの情報によると、小城、多久地区で今年の猪捕獲頭数が半減しているとのこと。これは単なる「数が減った」という話では終わらせられない、極めて重大な情報です。
捕獲半減の最大の原因は「豚熱(CSF)」の影響が濃厚
この捕獲頭数の激減の背景には、佐賀県内で確認されている豚熱(CSF)の影響が非常に濃厚です。豚熱は人には感染しませんが、猪や豚にとっては致死率が高く、地域内で感染が拡大すると、野生猪の個体数が短期間で大幅に減少することが知られています。
佐賀県では長年の捕獲強化策が功を奏し、元々個体数が減少傾向にあったところに、この疫病による淘汰が加わった結果、短期間で劇的な捕獲数の減少を引き起こしたと考えられます。
<猟師への示唆>賢い少数をどう獲るか
数が半減した状況は、猟師に以下のような戦略的な転換を強く求めます。
➀残った猪は「超賢い」
疫病と捕獲圧という二重の試練を生き延びた個体は、非常に強い警戒心を持っています。いつもと同じ安易な仕掛け方やポイントでは通用しません。
➁エリアの極端な絞り込み
数が少ないため、猪は餌や安全性を求めて特定のエリアに活動域を収束させている可能性が高いです。広範囲に罠を分散させるのではなく、目撃情報や痕跡が集中する「超一級ポイント」に資源を集中させる必要があります。
2.豊作の秋、食料と猪の動向を読む
今年の猟期前は、特に食料事情に大きな変化が見られます。この情報を元に、猪の行動パターンを予測し、罠を仕掛ける場所を決めましょう。
<栗とドングリの豊作>最高の誘引源
近隣農家からの情報によると、今年は猛暑だったものの、台風の被害が少なかったため、栗が豊作です。収穫期は9月から10月にかけてとのこと。山には猪が好むドングリもすでに落ち始めています。
➀猪の狙い
個体数が減っている分、生き残った猪は冬を越すために、より効率的に高カロリーな栗やドングリを摂取しようとします。これは彼らにとって生命線です。
➁罠の戦略
この豊富な食料が、猪を誘い込む最高の誘引源になります。栗の木やドングリの木が密集しているエリア、またはそこへ向かう明瞭な獣道が最優先のポイントです。特に、収穫されずに残った栗畑の周辺は、格好の餌場として機能している可能性が高く、緻密な調査が求められます。
食料が豊富にあるエリアに活動が集中していると考え、他の要素(水場、寝屋)と合わせて、猪が最も安全で効率的に餌を食べられる場所を特定することが、捕獲への近道です。
3.猟期1ヶ月前にやるべき実務的な準備
情報戦と同時に、実務的な準備も進めます。数が少ない今年は、ミスが許されないと思ってください。
(1) 猟場の徹底的な調査と環境整備
➀猪の出没情報収集
近隣農家や住民から、直近の目撃情報、農作物への被害情報を収集します。これは半減後の猪がどこに移動し、何を食べているかを知るための決定的なピースになります。
➁痕跡調査の精度向上
餌場と寝屋を結ぶ主要な獣道、最近掘られた掘り跡(特に栗やドングリを探した跡)、泥浴びをしたヌタ場を徹底的に調べ上げます。わずかな足跡や糞を見逃さず、猪の「今」の行動を読み解きましょう。
➂搬出ルートの確保
罠にかかった猪を安全かつ迅速に搬出するためのルート確保は欠かせません。この時期に草刈りや枝払いを行い、足元の悪い場所を整備しておきましょう。特に斜面での作業は滑落事故を防ぐためにも重要です。
(2) 道具の点検・衛生管理の徹底
➀罠の機能チェック
ワイヤーの切れ、バネの劣化、トリガーの作動など、全てのくくり罠を点検します。一頭の獲物を逃さないよう、小さな不具合も許されません。
➁衛生管理の徹底
豚熱の影響が濃厚であるため、捕獲後の処理においては、衛生管理を例年以上に厳重に行ってください。処理道具の消毒、埋却場所の選定など、防疫対策を怠らないことが重要です。
➂装備品の確認
ナイフ、ロープ、無線機、ハンマー、GPSなどの消耗品や電池のチェックを済ませます。
今年の猟期は、豚熱による個体数減少という最大の難題と、豊作の餌場という好機が絡み合う、非常に戦略的なシーズンになりそうです。この1ヶ月間を「準備」ではなく、「勝負の鍵」と捉え、徹底した痕跡調査と罠の整備を行いましょう。準備を徹底し、安全第一で最高の猟期を迎えましょう!
Tags: 狩猟