電動変速「自分好みにカスタマイズ」

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ブリット野口です。電動変速の導入事例を紹介します。

来客「ロードバイクの変速ってストレスなんだよね」
(右手を見せる来客)
店主「事故で指を失ったんですか?」
来客「生まれたときからこれだよ」
(シマノのカタログを見せる店主)
店主「電動変速にすればリア変速を左側に変更できますよ」

25年前のパナソニック「手動変速クロモリ」

古いクロモリロードバイクを所有するM氏は生まれつき右手が不自由だった。自転車に出会ったのは25年前。ロードバイクで街道を走ることが好きで、ポジションや乗り方を工夫しながら、独自の走り方を見つけていた。
会話をしたのは、アルテグラが電動変速のラインナップに加わった頃だった。ふらっと来店したM氏に、これからの電動変速の可能性を説明した。
それから数年経ち、M氏のロードバイクが完成した。ジャンクション関係がアップデートされ、配線がシンプルになった電動変速システムは、手が不自由な人にとって、より便利なものになった。

最新のパナソニック「電動変速チタン」

「電動変速で問題は解決するのか?」

➀導入の理由
生まれつき右手の小指以外の指が短い。ハンドルは握れるが、シフトレバーを小指で押す動作が疲れる。ギア変速を頻繁にできない。

➁フレームの選定
背が高く、手足が長い。25年前からパナソニックのクロモリロードに乗っている。ポジションを変えたくないので、同じジオメトリーのパナソニックチタンフレームを選択した。

➂電動変速の組合せ
デュアルコントロールレバー:ST-R8050
リアディレイラー :RD-RX805
ディスプレイ:SC-M9051
バッテリー:BT-DN110
バッテリーケース:SM-BTC1
ケーブル :EW-SD50
充電器:SM-BCR2

➃セッティング
フロントを48Tシングル、リアを11速11-30Tワイドレシオとした。(里山サイクリングで使用)ディスプレイやバッテリーケースにMTBパーツを組合わせたことで、ケーブルのレイアウトがシンプルになった。自由に設定できるデュアルコントロールレバースイッチのおかげで、マウスをクリックするような感覚で変速ができるようになった。

⑤感想
走り出しが軽く、良く進む。シフトチェンジが速い。右手がハンドルの保持とブレーキ操作に専念できるので左右のペダリングがしやすい。6ヶ所のスイッチに慣れるまでしばらく時間が必要だが、変速ストレスを感じなくなった。(M氏)

≪参考資料≫「電動変速のメリット、デメリット」
<メリット>
・変速精度が高くなる
・構造内に消耗パーツがない
・変速操作がより簡単になる
・シフトレバー以外でも変速可能になる
<デメリット>
・バッテリー切れの危険性
・故障時の対応
・水や泥に弱い

「変速の精度が向上する」
手動変速システムで使用していた金属製ワイヤーは温度変化によって膨張/収縮する。そのため、調整時の温度と異なる環境では変速の精度が落ちるという問題点がある。また、使用に伴う金属疲労も生じるため、ワイヤーを定期的に調整・交換する必要がある。電動変速はディレイラーの位置と変速幅を適切に設定すると、正確な変速を確実に実現することができる。また、両端から引っ張られるワイヤーと異なり、金属疲労が生じる心配がない。そのため、頻繁にメンテナンスを行う必要性がなくなり、フレーム内にケーブルを内装することへの障壁が低くなる。

「変速の操作自体が容易になる」
手動変速はシフトレバーを15度程度内側に押しこむことで変速している。電動変速はマウスのクリック程度の操作で変速することができるようになる。長距離を走っている時や、厳しい環境・状態で走っている時には、変速操作が容易であることが大きなメリットになる。

「変速スイッチを増設できる」
手動変速はディレイラーを操作できる箇所はワイヤーの端点に限られている。そのため、ロードバイクの変速操作はシフトレバーを介してのみ行われている。また、トライアスロンバイクやタイムトライアルバイクを変速するためにはエアロバーの先端に設置されたバーエンドコントローラー(バーコン)を操作する必要がある。電動変速は電気ケーブルに信号を流すことで変速をしている。ディレイラーに繋がる電気ケーブル上の任意の点に変速スイッチを設置することができる。ロードバイクは、ハンドルバーの水平な部分や、スプリントの際に握ることの多いドロップ部分に変速スイッチを増設することができる。登坂時やスプリント時など、シフトレバーを握らないタイミングでも変速することができるようになる。また、トライアスロンやタイムトライアル競技においては、エアロバーにスイッチを増設することで、自由に変速を行うことができるようになる。

「自分好みにカスタマイズ」
スマートフォンと「E-TUBE PROJECT」を同期させると多段変速設定やライダーの繊細な感覚に合わせた変速タイミングに設定ができる。前後ディレーラーの変速スイッチやシフトアップ、ダウンのスイッチを入れ替えて設定ができる。

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