自転車の運搬方法「サイクルキャリアの注意点」

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ブリット野口です。

近年、コロナ禍の影響で「ロードバイク」と「マウンテンバイク」が人気となっている。これまでは、サイクルスポーツとして、それらに打ち込む人が多かったが、手軽に始められるアウトドアスポーツとして、ファミリー層に認知されるようになってきた。それに伴い、自動車に自転車を積んで運ぶことが出来る「サイクルキャリア」の売上も伸びていて、新たな市場として注目されている。

「サイクルキャリアの車載方法と特徴」
サイクルキャリアとは、自転車を自動車に積載して移動するための道具であり、車載方法は大きく分けると以下の3種類となる。

1. 屋根に取付するタイプ
サイクルキャリアと言えば、屋根に取り付けて自動車の上に自転車を積載する方法を思い浮かべる人が多いはずだ。最もメジャーな積載方法がこの「ルーフマウント型」。自転車をそのまま屋根に載せることが出来、スタイリッシュに積載することが出来ることからも人気となっている。メリットは雨の日に自動車のはねた雨水や泥水が自転車にかからないこと。

2. ヒッチメンバーを使用するタイプ
ヒッチメンバーとは、ボートや、キャンピングなど、トレーラーを牽引するための自動車側に連結する装置のことで、そこに取付したサイクルキャリアに自転車を積載する方法をヒッチマウントと呼ぶ。欧州ではトウバーマウントと呼ばれている。サイクルキャリアの中でも最も積載量が多く、強度がある為、サイクルキャリアによっては3~4台の自転車を積載することができる。デメリットは、装置そのものが重かったり、自動車によっては、穴あけ加工やバンパー加工が必要な場合があること。

3. リアゲートに取付するタイプ
リアゲートに取付するタイプは、最も安価に使用できるサイクルキャリアで、基本的には工具を使用せず、リアゲートにフックを挟み込むだけ。初心者が扱いやすいのがメリットである。

「サイクルキャリアが違法とならない為の注意点」
サイクルキャリアは正しく使えば違法にはならない。しかしながら、道路交通法違反として検挙されるケースが後を絶たない。誤った積載方法のまま、公道を走行してしまう人が多くいることが原因だ。サイクルキャリアは、以下の注意点に気を付けて運用すること。

1.自転車を落下させないようにする
自転車を落下させると後続車や反対車線の自動車に衝突するリスクが発生するため、とても危険だ。道路交通法においても、落下物に対しては厳しい罰則が設けられており、高速道路及び自動車専用道路の場合、「3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金(過失10万円以下の罰金)」が課せられる。その他の道路の場合でも、5万円以下の罰金となっていて、自転車を積載する前に、「サイクルキャリアに不具合がないか、取り付けはしっかりできているか」などの確認が必要だ。

2.灯火類を隠さない
自転車をリアに積載する場合、自転車で灯火類が隠れてしまうと道路交通法違反となる。道路交通法では、下記のように定められている。

・ブレーキランプなど各灯火類がはっきり見えること

・ナンバープレートがはっきり見えること

「はっきり見えること」は、判断する側の主観によるので、解釈が難しい。テールランプが隠れる場合は、あらかじめブレーキランプやウィンカーが付属しているサイクルキャリアを選ぶと後続車からの視認性は良くなる。

3.全幅や全長で規定を超えない
・積載物の幅は、自動車の車体の左右から自動車の幅の10分の1の幅を超えてはみ出さないこと

・積載物の長さは、自動車の車体の前後から自動車の長さの10分の1の長さを超えてはみ出さないこと

特にマウンテンバイクなどは、横向きに積載すると車幅を超える可能性があるので、車検証の掲載事項を確認し、全長、全幅の制限を超えないように気をつけること。

4.最大積載量に注意する
バンやトラックと違い、普通車の場合は車検証に最大積載量の記載がない。その記載がなくとも、重量が増えるとタイヤやブレーキに負担がかかり、重大な事故につながる可能性がある。自動車のブレーキ性能などを考慮して、積載量を考えるようにすること。ちなみに、普通車が車外に積載できる手荷物の最大積載量は50㎏で、サイクルキャリアの積載量はこれに該当する。(貨物車を除く)

「サイクルキャリアの解釈は難しい
サイクルキャリアは取り外しができるので指定部品となる。従って、積載物の長さの制限は、車体ではなく、サイクルキャリアを取付した全長から10分の1以内の長さと解釈ができる。ナンバープレートと灯火の視認性については、積載状態で判断されるので、その都度、確認が必要だ。
サイクルツーリズムで使用する自転車を運搬するために導入したサイクルキャリア。
道路交通法違反の可能性があることは否めないので、関係各所と調整し、自己責任で運用となる。

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