自転車の「気持ちよさ」とは?

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ブリット野口です。
2000年頃に「感性工学」という分野が確立された。「工学研究の対象を人間に踏み込む」という流れから、自動車開発に「人間中心設計」という考え方が取り入れられた。その頃の自動車産業は、各社ともテクノロジーが進み、速度や性能などでは差がつかない状況だった。そこで、人間を主体とした「快適性」という付加価値による独自性を追求するように変化していった。
自転車とクルマは成り立ちが似ているため、世界トップクラスのレーサーに見合うハイレベルな仕様を、一般向けのスポーツバイクに応用し、普及させている。
しかし、これからは、生活者を起点にしたデザイン、仕様、機能を取り入れていくべきである。自転車がもたらす「気持ちよさ」は、ウォーキングやモーターサイクルとは違い、視覚、聴覚、嗅覚など、心地よい刺激を得ることにある。
自転車は、エンジン駆動で進むモーターサイクルとは違い、自分の力で進むことで速度と足の動きがリンクし、モーターサイクルより一体感を感じやすい。足の動きを止めても滑らかに進むので、スキーの滑走に似ている。

浮かぶように、飛ぶように、景色や音を感じながら流れに身を任せる瞬間が「自転車の気持ちよさ」の理由のひとつである。

「Cycligood」より抜粋

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