肥前狛犬を巡る旅「諸富」

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ブリット野口です。

「6回目の肥前狛犬巡り」

今回のガイドは肥前狛犬愛好家のK氏。
鍋島に続き、独自の嗅覚で見つけた諸富の肥前狛犬を案内してもらった。

「肥前狛犬、肥前鳥居、距離17km、行程3時間」

諸富体育館を出発し、麦秋を迎えた佐賀平野を通り抜け、路地裏を進む。すれ違う住民に挨拶をする。そして、さりげなく住民の暮らしを観察する。

集落の曲がりくねった路地を抜け、碁盤の目に整地された田園を進むと奥に煙突が見える。諸富のランドマーク「味の素工場」が現れる。戦前はセメント工場だった。
現在地を見失わないように煙突と脊振山系の位置を確認しながら走った。

神社や祠に祀られた肥前狛犬、肥前鳥居を見学したあと、徐福サイクリングロードを通り、筑後川沿いに進む。「見えない世界遺産」三重津海軍所で小休止。

農業地帯から漁業地帯へ風景が変わり、海苔仕様の軽トラが通り抜ける。
ちなみに佐賀県は海苔収穫量が日本一。有明海沿岸道路の工事も進み、福岡区間は全線開通。諸富ICは2022年開通予定。

修復が終わった筑後川昇開橋は自転車を押せば通行可能。大川の和菓子屋で饅頭をテイクアウトし、近くの公園で黙食、解散となった。

「調査からガイドツーリズムへアウトプット」

K氏の調査方法は情報を入れず、神社や祠をひとつずつ丁寧に巡ること。
肥前狛犬に遭遇する確率は低いが、偶然の出会いや地元住民が大切にしている空間をそっと眺める自転車散策を好む。

しかし、見つけた肥前狛犬を他人と共有したい気持ちは否めない。そこで、サイクルガイドツーリズムとしてアウトプットをお願いした。
そして、愛犬を連れた自転車散策の可能性も探ることになった。

「ミニベロは路地裏と相性が良い」

自転車散策の楽しさは、集落の裏側を覗き、面白いものを発見すること。
クルマが少ない路地裏は自転車で立ち止まっても交通の妨げにならないので、マイペースな自転車散策ができる。廃業した理髪店、鮮魚店、電気屋など、残された看板を見つけると、昭和の記憶が蘇る。
そして、ミニベロはタイヤが小さく、小回りが利くので方向転換がしやすい。さらに、バスケットの取付位置が低いブロンプトンは、低重心でバランスがとりやすい。
バスケットの種類が豊富なので、愛犬を運ぶ道具としても活用できる。但し、愛犬を運ぶには守るべきルールやマナーがあるので注意が必要だ。

ちなみに、自転車を運転しながら犬の散歩をしたり、何の対策もせずに自転車の前かごや後部座席に犬を座らせて運転したりすることは道路交通法違反となる。
小型犬がバスケットから飛び出さないようにハーネスとカラビナでしっかり固定し、クルマが少ない路地裏やサイクリングロードを利用する自転車散策は「安全」と判断した。

「自転車の楽しみ方は人それぞれ」

「肥前狛犬巡り」は参加者それぞれの楽しみ方が違う。二十歳の青年は肥前狛犬や歴史に全く興味がないが、撮影をすることが楽しいので毎回参加してくれる。先回りをして参加者の自然な表情を切り取ってくれるので専属カメラマンとして重宝している。

「トラブルも楽しみのひとつ」と前向きな姿勢のO氏は、中間地点でタイヤがバーストし、修理不可能になった。
離脱して集合場所へ戻ることになったが、「自転車を押しながらウォーキングを楽しむ」と前向きな姿勢を崩さなかった。

「自転車で地元の魅力を再発見」

地元の魅力を再発見する肥前狛犬巡り。他の地域の肥前狛犬も探したくなる中毒性がある。

肥前狛犬は「手段」に過ぎず、自転車運動による筋肉への刺激で血流や代謝を良くすることが「目的」である。そして、適度な運動は、交感神経を活性化させ、自律神経が整い、ストレス軽減につながる。身近な道具が「健康づくり」に役立つことを伝えたい。

自転車散策は、自転車以外の「何か」と組合わせると、地元の魅力を再発見できる。
適度な運動を感じる距離、四季折々の自然や名所、歩きでは遠く、クルマだと不便な要素が必要。サイクルガイドツーリズムは地域の歴史や風土も紹介するのでルートが複雑になる。足算より引算が必要。余白を残すことも大切だ。

「自転車でスタンプを集める」

佐賀市内に残る恵比寿像の場所を示した恵比寿マップがある。そこに置いてあるスタンプを集める「さが恵比寿八十八ヶ所巡り」が開催されている。
10年前にそれらを自転車で巡ったが、恵比寿巡りは、佐賀駅周辺は歩き、郊外はクルマで巡る設定だった。久保田、諸富、川副、蓮池を自転車で巡ると移動時間が長くなるので、初心者は佐賀駅周辺を自転車で巡ると心地よい運動になる。
恵比寿巡りはマップがあるので初心者にオススメのコンテンツ。健康になりたい人は「自転車」を生活に取り入れることからはじめて欲しい。

<さが恵比寿八十八か所巡り>
http://www.saga-ebisu.com/main/5032.html

三重津海軍跡とは?

佐賀県佐賀市川副町大字早津江字海軍所に所在し、佐賀藩が1858年(安政5年)に設立した蒸気船等の船の修理・造船施設。西洋船運用のための教育・訓練機関も兼ね備えていた。実用的な国産初の蒸気船である。「凌風丸」を製造した。2000年代に入り、発掘・文献調査が進められ、2013年、国の史跡指定、2015年には「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された。

筑後川昇開橋とは?

日本国有鉄道(国鉄)佐賀線に存在し、筑後川をまたいで福岡県大川市と佐賀県佐賀市諸富町(廃線時・佐賀郡諸富町)を結んでいた鉄道用可動式橋梁である。佐賀線の廃線後も保存され、現在は歩道橋として活用されている。旧筑後川橋梁(筑後川昇開橋)として重要文化財および機械遺産に指定されている。

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