高価なものと贅沢な時間

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ブリット野口です。

有田と波佐見の関係性

有田は高級な陶磁器の生産地というイメージがあるが、高価な有田焼の売れ行きは年々減少している。その隣に波佐見という町があり、隣接した有田と波佐見は400年前から肥前のやきもの産業を支えてきた。しかし、2000年頃に生産表記の関係で、波佐見でつくった「やきもの」は今まで使っていた「有田焼」というブランド名称を使えなくなり、波佐見は「有田焼」を捨て、日常生活に欠かせない食器として「波佐見焼」の名前で再スタートを切ることになった。

食器を売るのではなく、使われるための関係性に注目

波佐見は、食器だけを売るのではなく、食器と食生活の関係性に着目し、器、食、農、人、自然をつなげたグリーンクラフトツーリズムという考えにたどり着いた。その関係性を「贅沢な時間の体験」として売り出し、多くの観光客が集まる場所となっている。また、使われなくなった趣のある製陶工場をリノベーションし、貸し出すことで「若者、よそもの、ばかもの」が集まり、新たな価値を生み出す場所になっている。

自転車の場合はどうなのか?

健康志向の高まり、環境問題、2000年頃に自転車の価値が再認識され、クロスバイクなどのスポーツバイクが都市部では最速で移動できる乗り物という価値を生み出した。しかし、そこからスポーツバイクは、新しい価値を提案できているだろうか?(シェアバイクやE-MTBというカテゴリーは出てきているが・・・)

スポーツバイクを「高価なモノ」から「贅沢な時間を与えてくれる道具」として伝えること

波佐見のまちづくりを参考に、スポーツバイク、地域、人、自然、食べ物、という関係性に着目し、歴史や文化を自転車で尋ね、贅沢な時間と健康を共有する仕組みを作れば、新しい価値が見つかるかもしれない。まだまだ、自転車は可能性があると思っている。

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