里山ラボ実験報告:50代のペダルの上で見つけた「レストア」という考え方

Categorised in: ,

ブリット野口です。

里山ラボでは、炭窯を再生したり、森を整えたり、自転車を修理したり、体験を軸に活動をしています。どれも共通しているのは、「新しく作ること」ではなく、「今あるものを活かし続けること」です。

先日、30分間のインドアトレーニングをしているとき、不思議なことに気づきました。どれだけ頑張ってペダルを踏んでも、30分という時間は縮まりません。外を走るなら、速く走れば目的地に早く着きます。
しかし、3本ローラーでは違います。出力を上げても、終わりの時間は変わらない。変わるのは、自分自身との向き合い方だけです。気づけば私は、1分、5分、10分という小さな時間の窓を作りながら、自分の身体と対話していました。
数値を見て現在地を確認する。身体の反応を観察する。苦しさを消そうとするのではなく、共存する。

そんなことを繰り返しているうちに、ある考えが浮かびました。
世の中には「アンチエイジング」という言葉があります。老いに抗い、身体機能を維持しようとする考え方です。
一方で、私はビンテージの自転車や古い道具にも魅力を感じます。傷や色褪せも含めて価値になる。一見すると、この二つは反対の考え方に見えます。

しかし、里山で暮らしていると、実はそうではないように思えてきます。森も放置すれば荒れます。炭窯も使わなければ崩れます。自転車も整備しなければ走れません。だからといって、すべてを新品に作り直すわけでもありません。大切なのは、土台を活かしながら手を入れ続けることです。私はこれを「レストア」と呼んでいます。

人生も同じなのかもしれません。年齢を重ねれば経験は増えます。失敗も成功も積み重なります。それはビンテージとしての価値です。
一方で、身体は放っておけば確実に衰えます。だから、ペダルを回す。身体には新しい刺激を与え続ける。経験という古いフレームに、少しずつ新しい部品を組み込んでいく。それが人生後半戦の楽しみ方ではないかと思うのです。

50代は決して終盤ではありません。里山で言えば、森の手入れがようやく面白くなってくる頃です。これまで育ててきた経験という土台を活かしながら、身体も暮らしも少しずつ整えていく。炭窯も、自転車も、人間も。手を入れ続けることで、まだまだ働けるし、楽しめる。里山ラボは、そんな「レストアの実験場」でありたいと思っています。

今週も森へ入り、自転車に乗り、美味しいものを食べながら、10年後の自分を少しずつ組み立てていきます。

Tags: