第5話|遊ぶために、守る側へ。仲間と取得した狩猟免許|山は変わらない、私たちの「遊び方」が変わっただけ ~七山・鬼の鼻山・厳木をつなぐ20年の循環記~ | 自転車のことなら佐賀市鍋島のサイクルショップブリットへ

第5話|遊ぶために、守る側へ。仲間と取得した狩猟免許|山は変わらない、私たちの「遊び方」が変わっただけ ~七山・鬼の鼻山・厳木をつなぐ20年の循環記~

Categorised in: ,

山は変わらない、私たちの「遊び方」が変わっただけ ~七山・鬼の鼻山・厳木をつなぐ20年の循環記~

第5話|遊ぶために、守る側へ。仲間と取得した狩猟免許
自然の中で遊び続けるために、私たちは何を学ぶべきなのか?

ブリット野口です。

マウンテンバイクで山を走り始めてから十数年。
七山でトレイルをつくり、厳木へ活動の場を広げ、鬼の鼻山では大会を運営する側にも立ちました。
山で遊ぶ時間は増え、仲間も増えました。けれど、その時間が長くなるほど、一つの疑問が大きくなっていったのです。
「この山で、これから先も遊び続けるためには、何を知る必要があるのだろう。」

山を見る視点が変わり始めた
以前の私は、「どう走ればもっと楽しいか」を考えていました。
トレイルのラインを考え、仲間とコースを整備し、新しいフィールドを探す。
それだけでも十分に楽しかった。しかし、厳木の山へ通い続ける中で、見える景色が少しずつ変わっていきました。
倒木が増えた場所。草木で狭くなった林道。以前とは違う森の雰囲気。そして、イノシシが掘り返した地面。
前話でも書いたように、私は山の「息切れ」のような変化を感じ始めていました。
もちろん、それは誰かを責める話ではありません。十年以上同じ場所へ通い、自分自身が見てきた変化です。
その変化を前にして思ったのは、「遊ぶだけでは、この山を理解したことにはならない。」ということでした。

2021年、仲間と狩猟免許を取得した
2021年、私と仲間は罠猟の狩猟免許を取得しました。狩猟というと、「害獣駆除」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、私たちにとっての出発点は少し違いました。
山で遊び続けたい。そのためには、山を知る技術を身につけたい。その延長線上に狩猟がありました。
イノシシはどこを歩くのか。なぜ、この場所を選ぶのか。季節が変わると行動はどう変化するのか。
山を「走る人」の視点だけでは見えなかった世界が、少しずつ見えるようになっていきました。

山には、それぞれの先生がいた
幸運だったのは、身近に専門家がいたことです。
狩猟歴50年のベテラン罠猟師からは、動物の行動や足跡の読み方、安全な捕獲について学びました。
造園業の仲間からは、木の見方やチェーンソーの扱い、倒木処理を教わりました。
土木関係の仲間からは、重機の考え方や林道整備、災害復旧の現場で多くを学びました。
振り返ると、BULLITT CYCLING CLUBには本当に多彩な仲間がいました。自転車競技者だけではありません。
土木、造園、重機など、それぞれが違う技術を持ち寄っていました。
自転車という共通の趣味で出会った仲間が、いつの間にか山で生きる知恵を教えてくれる先生になっていたのです。

技術は、自分のためだけではない
チェーンソーを扱えるようになること。
重機の考え方を知ること。
罠を設置できるようになること。
どれも目的は「技術を増やすこと」ではありません。
山で安全に活動し、仲間とフィールドを守り、次の世代も同じ場所で遊べるようにすること。
そのための手段でした。
自転車も、狩猟も、森林整備も、一見すると別々の活動に見えます。
けれど、私の中では、一本の線でつながっています。
山で遊び続けるために必要なことを、一つずつ学んできた。
ただ、それだけなのです。

今回の気付き
昔の私は、「遊ぶ人」でした。でも今は、「守る人」になったと言いたいわけではありません。
遊ぶことをやめたわけでもありません。むしろ逆です。
遊び続けたいから、守ることを学び始めた。
その順番が、とても大切だと思っています。
だから、狩猟を特別な活動として切り離して語るつもりはありません。
MTBで山へ入り、フィールドを知り、仲間と学び、必要な技術を身につける。
その延長線上に狩猟や森林整備があります。
山は変わっていません。変わったのは、私たちの山との付き合い方です。

次回予告
狩猟を始めると、もう一つ新しい問いが生まれました。
「最高のジビエを味わうために、本当に必要なのは何だろう。」
その答えを探してたどり着いたのが、七山の炭窯でした。伐った樫を炭にし、その炭でジビエを焼く。
遊びから始まった20年の物語は、いよいよ「猟師の樫炭」という新しい循環へ進んでいきます。

次回、第6話「伐った樫が、最高の火になる。『猟師の樫炭』がつなぐ里山の循環」へ続きます。

このシリーズを続けて読む
『山は変わらない、私たちの「遊び方」が変わっただけ』は、自転車店の活動から始まった20年間の記録です。
トレイルづくり、MTB大会、里山の変化、狩猟、炭焼き、ジビエ、そして「里山ラボ」へ。
ひとつひとつの出来事がどのようにつながり、現在の活動へ発展してきたのかを、全8話で時系列にまとめています。
第1話|なぜ自転車店を始めたのか
第2話|七山でトレイルをつくった理由
第3話|厳木へ広がったフィールド
第4話|山が発していたSOS
第5話|遊ぶ側から守る側へ
第6話|猟師の樫炭という挑戦
第7話|一皿に宿る里山の循環
第8話|里山ラボという答え

Tags: