第一部|犬はなぜ初めての山でも帰り道を迷わないのか?
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ブリット野口です。
犬との山歩きは、犬を知ることから始まり、人が自然を学ぶことで深まります。この三部作では、「犬はどう歩くのか」「犬は何を感じているのか」「人は何を学ぶのか」という三つの視点から、里山で過ごす時間の楽しさを紹介します。
なぜ初めての山道でも愛犬は帰り道を迷わないのか?
犬の「嗅覚マップ」と本能を解説
管理されたドッグランや、いつもの散歩道では見られない愛犬の姿に驚いたことはありませんか。
初めて歩く山道なのに、帰りになると一度も迷うことなく来た道を一直線に戻っていく。
「どうして道が分かるんだろう?」
これは里山を歩く飼い主さんがよく口にする疑問です。
私も佐賀県唐津市・厳木の里山で犬と歩く中で、何度もこの光景を見てきました。実は、この行動には犬ならではの優れた空間認識能力と嗅覚が深く関係していると考えられています。
行き道でウロウロするのは、遊んでいるからではない
山に入ると、犬は落ち着きなく左右へ動き回ります。草むらに鼻を入れたり、立ち止まって風を嗅いだり、谷の方向をじっと見つめたり。
「寄り道ばかりしている」
そんなふうに見えるかもしれません。しかし、犬にとっては、この時間こそが山を理解するための大切な情報収集なのです。
犬は「匂い」で地図を作っている
人間は目で景色を覚えます。「あの杉の木を右へ」「あの岩を左へ」というように、視覚的なランドマークを頼りに歩きます。
一方、犬は嗅覚を中心に世界を認識しています。
風向きによって運ばれる草木の匂い。
湿った土の香り。
野生動物が残した痕跡。
そして、自分自身が歩いて残したわずかな匂い。これらを重ね合わせながら、犬は頭の中に立体的な「嗅覚マップ」を作っていると考えられています。
帰り道は「探索モード」から「帰還モード」に切り替わる
行き道で十分な情報を集めると、犬の目的は変わります。探索ではなく、安全に帰ること。すると、行きとはまるで別の犬のように、迷わず歩き始めます。
これは、「この道は安全」「ここを通れば帰れる」という確信ができているからです。
私たちには何も見えませんが、犬にとっては、自分が残した匂いや環境の変化が、まるで見えない道しるべのようになっています。
さらに、近年では、一部の研究で犬が地磁気を利用して方向を把握している可能性も示唆されています。
まだ、研究途上ではありますが、犬が私たちの想像以上に多くの感覚を使って移動していることは間違いありません。
山に入ると、愛犬の本来の能力が見えてくる
街中では、人が犬をリードします。信号を渡り、車を避け、歩く速度も人間中心です。
しかし、里山では少しだけ立場が変わります。
犬は鼻を使い、耳を澄ませ、風を読み、地形を感じながら歩き始めます。
その姿は、普段の「ペット」というより、野生の感覚を今も受け継ぐ頼もしい相棒そのものです。
だから、私は、山歩きは犬の能力を試す場所ではなく、「犬という動物を理解する場所」だと思っています。
愛犬の世界を知ると、山歩きはもっと面白くなる
「なぜ帰り道を迷わないのか」
その理由を知るだけで、山を歩く時間は少し違って見えてきます。
犬が立ち止まる理由。風を嗅ぐ理由。何もない場所をじっと見つめる理由。
その一つひとつが、犬にとっては意味のある情報収集なのです。
犬の行動を理解すると、山歩きは散歩ではなく、お互いの感覚を共有する冒険へと変わります。
「野営 with DOG」で、愛犬の本能に出会う
佐賀県唐津市厳木町の里山を舞台にした「野営 with DOG」は、愛犬と一緒に自然の中で過ごしながら、本来の能力を観察し、体験する少人数限定プログラムです。
<体験内容>
・ マイ・ロングリードづくり(ロープワーク)
・ブッシュクラフト火起こし
・アース・スニッフィング(犬の探索行動とアニマルトラッキング)
愛犬は山を読み解き、飼い主は自然を学ぶ。そんな一日を、厳木の森で過ごしてみませんか?
里山ハイキングガイドツアー「野営 with DOG」愛犬とカヌーを漕ぎ出すように、里山のディープな自然へ共に踏み出すアドベンチャートラベル
次回予告
【第二部】公園では見られない、愛犬の「あの表情」の正体。アース・スニッフィングが引き出す本能とは?
山に入ると犬の表情はなぜ変わるのか。その理由を、嗅覚と野生動物の痕跡という視点から掘り下げます。
Tags: ジャックラッセルテリア