田舎暮らしは「衰退を受け入れる」ことから始まる。気候変動の時代に、野生動物から学んだ新しい働き方 | 自転車のことなら佐賀市鍋島のサイクルショップブリットへ

田舎暮らしは「衰退を受け入れる」ことから始まる。気候変動の時代に、野生動物から学んだ新しい働き方

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田舎暮らしは「衰退を受け入れる」ことから始まる。
気候変動の時代に、野生動物から学んだ新しい働き方

ブリット野口です。

「今年の夏も、また一段と暑くなった」
里山で作業をしていると、毎年そう感じるようになった。
数年前までは「今年は特別暑いね」で済んでいたことが、今では当たり前になりつつある。35℃を超える日が続き、昼間に山で作業をすること自体が危険だと感じる日も少なくない。
一方で冬は暖かい。雪が積もる日は減り、以前なら冬眠するように静かだった里山も、どこか様子が変わってきている。

私は会社員を辞めて20年、自営業者として暮らしてきた。その間、自転車店を続けながら狩猟を始め、さらに観光事業にも取り組んできた。少しずつ新しいことへ挑戦し、そのたびに働き方も更新してきたつもりだった。
しかし、この数年の気候変動は、それまでの「少しずつ変える」という速度では追いつかないほど急激だ。
これからの10年を、この里山でどう生きていくのか。その答えのヒントを教えてくれたのは、人ではなく、毎日山で出会う野生動物たちだった。

野生動物は、環境に逆らわない
山を歩いていて思う。真夏の昼間、イノシシはほとんど動かない。木陰や沢沿いで体力を温存し、活動するのは夜や早朝、夕方の涼しい時間帯だ。反対に、暖冬で雪が少ない年は行動範囲が広がり、例年より活発に動いている。
彼らは「去年までこうだった」という考え方を持たない。
暑ければ休む。動きやすければ動く。ただ、それだけだ。
環境が変われば、自分も変わる。その柔軟さこそが、何万年も生き延びてきた理由なのだろう。人間だけが「昔と同じように働かなければならない」と考えているのかもしれない。

私たちは、変化よりも「過去」に縛られている
もちろん、頭では理解している。気候が変わったのだから、働き方も変えればいい。でも、それが簡単ではない。
自営業者になって20年。「毎日働くこと」「一年中同じペースで動くこと」が当たり前になっていた。
暑いから今日はやめよう。夏は仕事量を減らそう。そう決めるだけでも、どこか罪悪感がある。
「もっと頑張れるのではないか。」「仕事を止めたら売上が落ちるのではないか。」そんな考えが頭をよぎる。
これは能力の問題ではなく、長年積み重ねてきた習慣の問題なのだと思う。
野生動物のように、本能だけで切り替えることは人間には難しい。だからこそ、自分の考え方を少しずつ更新していく必要がある。

「衰退を受け入れる」という発想
最近、私が強く感じていることがある。それは、「田舎暮らしは、衰退を受け入れることから始まる。」ということだ。
ここで言う「衰退」とは、諦めることではない。人口減少も、高齢化も、気候変動も、自分一人では止められない。
止められないものに抗い続けるよりも、「そういう時代なのだ」と受け止め、その環境に合わせて暮らし方を変えるほうが、ずっと健全だと思うようになった。
縮小する地域なら、その規模に合った仕事をする。猛暑なら無理をしない。暖冬なら、その恩恵を活かす。
自然を相手にする仕事だからこそ、人間だけが自然に逆らう理由はない。

季節に合わせて働き方も変える
これから私は、一年を同じリズムで働くことをやめようと思っている。
夏は「仕込み」の季節
酷暑の時期は無理に山へ入らない。クーラーの効いた室内で、ブログを書く。商品を開発する。道具を整備する。動画を編集する。AIを活用して企画を考える。そんな「次の冬の準備」に時間を使う。
冬は「実践」の季節
冬になれば外へ出る。狩猟。里山整備。ガイドツアー。フィールドワーク。身体を使う仕事を集中的に行う。一年を均等に働くのではなく、季節に合わせて仕事をデザインする。それが、この時代の働き方なのではないかと思っている。

実証実験を繰り返した先に見えた「里山ラボ」という思想
会社員から自営業へ。
自転車店を営みながら、狩猟を始め、観光事業に取り組み、そして、AIを活用した情報発信へと挑戦してきた。
振り返れば、この20年間は、一つの正解を追い求めてきたのではない。思いついた仮説を実際に試し、失敗し、観察し、また考える。その繰り返しだった。
そして、今、気候変動や人口減少という大きな変化の中で、野生動物たちの姿を思い返す。彼らは環境が変われば行動を変える。そこに迷いも執着もない。
一方、人間は過去の成功体験や常識に縛られ、変化を受け入れることが難しい。
だからこそ、私は野生動物から学んだ「環境に適応する」という姿勢を、自分の働き方にも取り入れたいと思うようになった。
変わる環境に合わせて、自分も変わり続けること。それは妥協ではなく、この時代をしなやかに生き抜くための知恵なのだ。
その考えに至るまでには、20年という時間が必要だった。

そして、その試行錯誤を続ける中でたどり着いたのが、「里山ラボ」という考え方である。
里山ラボは、自然体験を提供する場所ではない。
自然を観察し、問いを立て、AIを使って知識や経験を整理し、再びフィールドで確かめる。その循環を繰り返しながら、変化する時代の新しい生き方や働き方を探究する実験場である。
完成された答えを教える場所ではなく、自然と向き合い、考え、試し、また問い直す場所。
私自身も、この里山をフィールドに実証実験を続けながら、その過程で得られた知恵や発見を、里山ラボを通して多くの人と共有していきたいと思っている。

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