狩猟4年目の兼業ジビエハンターの暮らし

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「狩猟4年目の成果と課題」

ブリット野口です。
令和6年度の狩猟期間が終了したので狩猟の成果と課題について考えてみる。
佐賀県のくくり罠による狩猟期間は、11月15日から3月15日までの4ヶ月間。
今期の捕獲頭数は猪6頭。(錯誤捕獲の狐は放獣したのでカウント無し)



すべての猪を生け捕りにした後、食肉加工所へ搬入した。廃棄せずに、食肉、ペットフードとして活用できたので、狩猟の目的を達成できたと思っている。
そして、何より、自分自身の変化を感じた。より深く、自然を理解しようとする思考に変化したので、4年前とは狩猟の考え方そのものが違っている。

「成果」
小城にジビエ食肉加工場が開業した。西多久テラスの紹介で捕獲した猪を小城市の食肉加工所へ搬入した。
場所は小城インター付近の民家。日本語が堪能な若いベトナム女性が解体を行う。
生け捕りにした猪は、食肉加工所で「止め刺し」を行うため、運搬を急ぐ必要はない。しかし、過剰なストレスは猪の肉質に影響を及ぼすので、カーゴキャリアに載せ、小城まで安全運転で運ぶ。途中、猪が暴れてクルマが揺れたが、荷崩れせずに搬入ができた。1週間で3頭(30㎏未満)の猪を搬入した。

兼業ジビエハンターにとって、通勤途中に立ち寄れる食肉加工所が増えたことは、有難い話である。
狩猟は暮らしとリンクするので、「捕って、さばいて、食べる」のリズムが基本形。本来、狩猟は自己完結が理想だが、現実は時間が足りず、解体まで辿り着いていない。民間でテンポよく繋がっていけば、捕獲して廃棄する猪が減るので、小城、多久、両者の食肉加工所を活用していきたい。ちなみに、国内の猪捕獲頭数は60万頭。食肉利用率は5%。食肉として利用された3万頭の内訳は、食肉は60%、ペットフード30%、自家消費10%となっている。
小城の食肉加工所は、狩猟仲間と共にジビエを活用する取組を進めていくとのこと。そして、この取組には、旅館経営の狩猟者が携わっている。旅行業者目線で考えると、小城で宿泊型の狩猟体験ツアーも開催可能だ。サイクルガイドツアーと連携した体験型旅行商品の造成を考えてみたい。

「課題」
捕獲対象ではない鳥獣が誤って罠にかかることを「錯誤捕獲」と呼ぶ。錯誤捕獲された野生動物は興奮状態にあるため、「無傷」のまま罠を外すことは通常の「止め刺し」よりも、危険性が高い。
くくり罠の場合、バネの力で締め付けられているため、バネの力を開放するワイヤーロックを外さなければならない。スネアの緩みを防止する「くくり金具」がワイヤーに絡んでいることも多いため、放獣の作業は獲物に接近する必要がある。

<錯誤捕獲>
狩猟鳥獣ではあるが、捕獲対象としていない「狐」が、くくり罠にかかり、放獣をするのに苦労した。狸や狐など、軽量な動物が、くくり罠にかからないように荷重調整をしているが、確実ではない。ストレスを与えない放獣の技術を磨くことが今後の課題となった。

「最後に」
野山を自由に使うことが難しい現代において、狩猟登録者は、地権者から承諾を得た場合、身近な野山に自由に立ち入ることができる。また、狩猟の見回りや獲物の運搬にマウンテンバイクを活用するための通路を整備することもできる。
地域に居住し、住民や地権者と合意を形成し、それぞれの利害関係者と「物々交換」をしながら、遊ぶように働き、学び続け、生きる力を磨いていく。

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