狩猟と自転車

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ブリット野口です。

自転車店の開業から15年、マウンテンバイクで遊び始めて10年が経過した。私自身、自転車の遊び方を学ぶために様々なジャンルのレースやイベントに参加していたが、コロナ禍で生活環境が大きく変わった。

「地域の課題に向き合う」

新型コロナウィルスが蔓延し、移動が制限された2020年。多くのレースやイベントが無くなり、地域に目を向ける機会が増えた。マウンテンバイクで近隣を散策すると、里山の法面崩壊が目に付くようになった。耕作放棄地が増え、里と山の境界線が曖昧になり、掘り返しなど、イノシシの被害が増加している。
農作物の被害だけではなく、クルマに衝突したり、人を襲ったり、集落が獣に浸食されている印象だ。もともと九州北部にはイノシシは棲息していなかった。しかし、今ではあちらこちらにイノシシの痕跡がある。

「イノシシの痕跡を読む」

イノシシの痕跡は山の中に隠されている。「ヌタ場、糞、足跡、泥跡」を観察し、情報を組み合わせ、罠を仕掛ける。イノシシが残した痕跡を探りながらマウンテンバイクで山を走る。
罠猟の楽しみは、イメージを膨らませながら山を探索することにある。獲物が掛かっているかどうかワクワクしながら罠を見て回る。季節ごとに山の移り変わりを感じ、マウンテンバイクと狩猟を同時に楽しむ。

マウンテンバイクで山を走り、得た情報を狩猟に活かせることに喜びを感じるが、イノシシ以外の動物たちとの出会いも面白い。罠のチェックだけではなく、五感を研ぎ澄ましながら、その山全体の状況を把握する。獲物の痕跡を読み、その姿を想像する。その答え合わせに今日もマウンテンバイクで山へ向かう。想像したイノシシと実際に対面できるのは、自分の罠で捕まえたときだけ。

「唐津市厳木町の山間部で仲間と狩猟に挑戦」

2021年1月、仲間4人で狩猟免許を取得した。マウンテンバイク愛好家3人、料理研究家1人と共に地域の課題となっているイノシシ被害の削減、地域資源を活用したジビエ料理の提供を目的とする「ブリットハンティングクラブ」を設立した。有害鳥獣駆除という立場ではなく、地域資源であるイノシシを活用したサスティナブルな狩猟を目指している。狩猟と自転車を組合せ、里山と共生した新しい価値を生み出し、地域住民の意識改革につながることが、本当の地方創生だと考えている。

「狩猟者は自然環境保全の管理者」

若手ハンター不足は深刻な問題である。全国的に有害鳥獣による農林業被害が叫ばれているが、「動物が減るより先にハンターが絶滅する」という笑えない冗談も飛び交う。しかし、昨今の狩猟ブームのおかげで地域によっては少しずつ、若いハンターが増えている。

「狩猟と自転車の親和性とは?」

獣道に仕掛ける「くくり罠」や餌付けで捕獲する「箱罠」の見回りや捕獲には体力が必要だ。高齢化した狩猟者は労力低減、危険回避で「箱罠」を選択することが多い。しかし、「箱罠」は餌付けされたイノシシを生み出し、田畑に廃棄された農作物を食べる習慣を生み出す。より集落に近づく可能性が増し、交通事故など人的被害を考慮すると、山奥で行う「くくり罠」も捨てがたい。

「くくり罠」は見回りが大変だが、地形の起伏や自然環境を利用して移動する「マウンテンバイク」と組み合わせると移動効率が良くなる。マウンテンバイクで獣道を駆け上がったり、下ったりできるようになるには、操作技術の習得が必要になるが、マウンテンバイク大会の運営を行う「ブリットサイクリングクラブ」代表である私は、自転車で山道を走る操作技術を習得し、山の探索にも慣れている。
自転車を使った狩猟が軌道に乗れば、サイクリングクラブメンバーに狩猟免許の取得を促し、地方創生の担い手になるように働きかけていきたい。

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