狛犬が語る歴史の道!佐賀の肥前狛犬を自転車で巡る旅

Categorised in: , , ,

ブリット野口です。

狛犬と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
神社の入口で参拝者を見守る、ちょっと厳めしい姿の石像。
そんなイメージを抱いている方が多いかもしれません。 しかし、佐賀県には、他とは一線を画すユニークな狛犬たちがいます。その名も肥前狛犬。

今回、この肥前狛犬をテーマに、佐賀の歴史と文化を感じながら、自転車で巡る旅の魅力をご紹介します。

肥前狛犬とは?
肥前狛犬とは、佐賀県を中心とした旧肥前国地域に分布する、江戸時代中期から後期にかけて作られた石造りの狛犬のこと。
一般的な狛犬が中国の獅子や高麗犬をモチーフにしているのに対し、肥前狛犬はどこか愛嬌のある、素朴で親しみやすい表情をしています。

丸く大きな目、太い眉、団子鼻、そして顔全体に広がる大きな口など、人間味のある愛らしい表情にデフォルメされていることが多いです。一見すると「これが本当に狛犬?」と思うようなものも少なくありません。

この独特の作風は、当時の石工たちが庶民の信仰心や日常の風景を反映させて作り上げたものだと言われています。 権威や格式にとらわれず、自分たちの身近な存在として狛犬を捉えていた証拠なのかもしれません。

自転車で巡るからこそ見えてくる景色
肥前狛犬は、佐賀県内のあちらこちらの神社に点在しています。 一つ一つの神社をゆっくりと訪れ、その土地の空気を感じながら巡るのに、自転車は最高の相棒です。
車では通り過ぎてしまうような小さな集落の路地裏や、田んぼのあぜ道。
ペダルを漕ぐ速度だからこそ、風の匂いや鳥の声、そして遠くに見える山並みや田園風景を五感で感じることができます。

目的地の神社に辿り着き、自転車を降りて鳥居をくぐる。そして、肥前狛犬と対面する瞬間は格別です。

「この神社の肥前狛犬はどんな顔をしているんだろう?」 「どんなポーズかな?」
そんなワクワク感を胸に、境内の奥へと進んでいく。 まるで、宝探しをしているような気分になります。


おすすめ!肥前狛犬巡りサイクリングコース
佐賀県内には肥前狛犬を祀る神社が数多くありますが、今回は佐賀市のおすすめのコースを紹介します。


1.佐賀市南部諸富コース
佐賀駅から諸富まで、レンタサイクル「チャリチャリ」の利用が便利です。佐賀駅周辺のポートで借り、9拠点のポートへ返却できます。
チャリチャリ

2.コースの特徴
有明海に近く、広大な田園風景や筑後川の雄大な景色を楽しめます。「佐賀のり」で有名な海苔漁が盛んな地域で、海苔養殖の風景も目にすることができます。平坦な道が多いため、初心者の方でも走りやすいコースです。

3.ルート
➀諸富体育館(出発地点)
諸富体育館をスタート地点として、まずは佐賀平野の田園地帯へ向かいます。このあたりは碁盤の目のように区画整理された道が多いので、地図を頼りに進んでみましょう。
➁諸富地区の神社
諸富地区には、集落の奥まった場所にひっそりと佇む小さな神社が数多くあります。これらの神社の中には、愛嬌のある表情をした肥前狛犬や、佐賀ならではの石造りである「肥前鳥居」を見つけることができます。

地域の人々が大切に守ってきた空間を、静かに散策してみましょう。
➂徐福サイクリングロード
肥前狛犬巡りの途中で、徐福サイクリングロードを利用して筑後川沿いへ。川沿いの道は車通りも少なく、風を感じながら快適なサイクリングを楽しめます。歴史的建造物である「筑後川昇開橋」も近くにあるので、自転車を押して渡ってみるのも良いでしょう。

➃三重津海軍所跡(世界遺産)
筑後川の河口付近にある、幕末の海軍基地跡。
「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界遺産に登録されていますが、遺構が地下に埋まっているため、地上には案内看板やガイダンス施設が点在しています。「見えない世界遺産」として知られるこの場所で、佐賀の近代化の歴史に思いを馳せてみましょう。

➄筑後川昇開橋
国指定重要文化財でもあるこの橋は、かつて鉄道橋として使われていました。現在は歩行者・自転車専用の橋として整備されており、対岸の大川市(福岡県)へ渡ることも可能です。橋の上から見る筑後川の景色は絶景です。

肥前狛犬を探す旅の楽しみ方
このコースは、特定の大きな神社を巡るというよりは、地図を片手に小さな神社を探しながら進む「宝探し」のような楽しみ方ができます。

1.事前情報に頼りすぎない
あえて事前情報をあまり入れず、自分の足と目で探してみるのがおすすめですが、偶然、見つけることは難しいので、肥前鳥居を目印に探してください。

2.地元の人に挨拶
集落の路地裏で地元の方とすれ違ったら、元気に挨拶をしてみましょう。思わぬ情報を教えてもらえるかもしれません。

3.道中の風景を楽しむ
肥前狛犬だけでなく、佐賀平野の美しい田園風景や有明海の豊かな恵みを感じながら走ることで、旅がより一層豊かなものになります。佐賀市内で肥前狛犬を探す旅は、佐賀の穏やかな日常と、そこに息づく文化を肌で感じられる、特別な体験になるでしょう。


肥前狛犬を訪ねる旅のヒント
肥前狛犬は集落の中の小さな神社や祠にも奉納されています。田園地帯や里山の集落をゆっくりと散策してみると、思わぬ出会いがあるかもしれません。

1.肥前狛犬と肥前鳥居は時代が同じ
肥前狛犬の情報は、地元の人でも意外と知らないことが多いので、事前にインターネットで情報を集めておきましょう。肥前狛犬と肥前鳥居は同じ時代に奉納されているので、肥前鳥居を探すと見つかることもあります。

2.地元のグルメも楽しもう
自転車旅の醍醐味は、地元でしか味わえない美味しいものを楽しむこと。 佐賀市全体のご当地グルメとして知られる「シシリアンライス」は、諸富町でも食べられるお店があります。温かいご飯の上に、甘辛く炒めたお肉と新鮮な生野菜を乗せ、マヨネーズをかけるのが基本スタイル。お店によって様々なアレンジがあるので、食べ比べしてみるのも面白いかもしれません。

諸富町は「佐賀のり」の産地としても有名です。有明海の豊かな栄養分で育った海苔は、香りが良く、口どけが良いのが特徴です。お土産に買って帰るのも良いでしょう。
サイクリングの途中で立ち寄って、旅の思い出をさらに豊かにしてください。


3.自転車の準備と安全対策は万全に
佐賀県内にはレンタルサイクルが利用できる場所もありますが、自分の自転車を持参するのも良いでしょう。 夏場は特に暑さ対策として水分補給をこまめに行い、日焼け止めや帽子の準備も忘れずに。 また、交通量の多い道路を走る際は、安全運転を心がけてください。


最後に
肥前狛犬は、ただの石像ではありません。 それは、当時の人々の暮らしや信仰、そして佐賀の土地が育んだ文化を今に伝えるタイムカプセルのような存在です。 一つ一つの狛犬と向き合い、その表情や姿からどんな物語を想像するかは、あなた次第です。

自転車のペダルを漕ぎながら、歴史の道とユニークな狛犬たちに出会う旅。 佐賀の新たな魅力を発見する旅へ、あなたも出かけてみませんか?

Tags: , , , ,