【2026年イノシシ行動予測①】記録的猛暑で青栗が落果。気象データと「裏年」から読む10月のくくり罠戦略【仮説編】
【2026年イノシシ行動予測①】記録的猛暑で青栗が落果。気象データと「裏年」から読む10月のくくり罠戦略【仮説編】
ブリット野口です。
私は佐賀県唐津市の里山で暮らす自転車店主であり、猟師歴5年の有害鳥獣捕獲従事者です。
狩猟では「捕ること」を目的にするのではなく、「命をジビエとして無駄なく活かすこと」を大切にしています。そのため、肉質が落ちやすい夏場はくくり罠を設置せず、イノシシが十分に肥育し、脂が乗り始める10月から本格的な狩猟を行っています。
気象データと里山観察から、2026年のイノシシ行動を予測する
毎日、愛犬との散歩で里山を歩きながら、水場やぬた場、木の実の付き方、イノシシの痕跡を観察し続けています。
2026年7月末、その日々の観察の中で例年とは違う異変に気付きました。
まだ、青い栗のイガが大量に落ちていること。そして、農業用ため池の水が完全に干上がっていたことです。
この現象は、今年の記録的な猛暑と少雨が原因なのでしょうか。それとも、昨年ドングリが豊作だった反動で、今年は「裏年(凶作年)」を迎えているのでしょうか。
今回は気象データと現地観察をもとに、2026年10月のイノシシの行動と、くくり罠の設置場所について仮説を立ててみます。
2026年の猛暑と少雨はイノシシの行動を変えるのか
まずは気象データを確認してみます。
2025年5月から7月までの降水量は657.5mmでしたが、2026年は593.0mmと約65mm少なくなりました。
一方、3か月平均気温は24.1℃から24.7℃へ上昇し、7月単月では平均29.1℃という非常に暑い夏となっています。
数字だけを見ると小さな差に思えるかもしれません。しかし、山を歩くと違いは明らかです。
沢の流れは細くなり、小さな水場は姿を消しました。普段なら水をたたえている農業用ため池も底の泥が露出し、完全に干上がっています。
水場はイノシシにとって欠かせない環境です。飲み水だけでなく、体温調節や寄生虫対策のために利用する「ぬた場」も減少します。
つまり、水場が減れば、イノシシが利用できるルートも限られてくる可能性があります。
青栗の落果は猛暑だけではない。「裏年」という可能性
今年特に気になったのが、まだ熟していない青栗の大量落果です。一般的に栗は、水分不足などの強いストレスを受けると、生き残るために実を落とす「生理落果」が起こることがあります。
今年の猛暑と少雨を考えると、この影響は十分考えられます。しかし、私はもう一つの可能性にも注目しています。
それは「裏年」です。ドングリや栗などのブナ科樹木は、毎年同じように実を付けるわけではなく、豊作の年と不作の年を繰り返すことが知られています。
昨年、私が歩く里山ではドングリが非常に豊作でした。
もし、2025年が「表年」だったとすれば、2026年は「裏年」となり、もともとの結実量が少ない可能性があります。
つまり、今年見られる青栗の落果は、
・猛暑と少雨による生理落果
・裏年による結実量の減少
この二つが重なっているのかもしれません。
現時点では断定はできませんが、この違いは10月のイノシシの行動を考える上で重要なポイントになります。
木の実が不足するとイノシシはどこへ向かうのか
秋になると、イノシシは栗やドングリを食べて脂を蓄えます。
もし、今年、木の実が少ない状況になれば、山だけでは十分な栄養を確保できません。
その結果、放置柿や果樹園、水田跡、農地周辺など、人里近くまで行動範囲を広げる可能性があります。
さらに、水場が減っている状況では、安定した沢や湧水へ向かう移動ルートも限られてきます。
「餌と水」この二つを結ぶルートは、例年以上に明確になるのではないかと考えています。
昨年は栗畑で5頭、広葉樹の森で3頭、尾根・水場で3頭の捕獲。今年は、12月に脂が乗ったイノシシ60㎏をエリア③で狙うために、夏場から現地調査に入っています。
10月のくくり罠設置場所を予測する
7月末時点での私の仮説では、10月の有力な設置場所は、山奥ではありません。
水が残る沢筋から、放置柿や農地へ向かう斜面の中腹や、山と里の境界にあるケモノ道です。
木の実が不足すれば、イノシシは効率よく餌を探そうとします。
乾燥によって利用できる水場も限られるため、行動ルートは例年以上に集中する可能性があります。
もちろん、8月から9月にまとまった雨が降れば状況は変わります。
残った栗やドングリが回復し、水場も復活すれば、イノシシは再び山中を中心に行動するかもしれません。
だからこそ、今の段階では「仮説」として記録を残し、実際の里山の変化を見ながら修正していくことが重要だと考えています。
次回予告|8月の現地観察で仮説を検証する
この記事は、2026年7月時点の気象データと現地観察から立てた仮説です。
次回は8月末時点で、
・降水量の変化
・ぬた場の利用状況
・イノシシの足跡
・栗とドングリの結実状況
を確認し、今回の仮説を検証します。
気象データだけでは見えない里山の変化を、自分の足で歩き、自分の目で確かめながら、2026年のイノシシ行動予測を記録していきます。
2026年イノシシ行動予測シリーズ
第1回(7月):記録的猛暑で青栗が落果。気象データと「裏年」から読む10月のくくり罠戦略【仮説編】
第2回(8月予定):ぬた場・水場・足跡はどう変わったのか?猛暑が続く里山を現地検証
第3回(9月予定):栗・ドングリの結実状況から最終予測。10月のくくり罠設置場所を決定
第4回(10月予定):気象データから立てた仮説は当たったのか。捕獲結果から2026年を検証する
Tags: 狩猟